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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第五章
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クリスマスのディスプレイにして、売上が鰻登りだ。

特にシュークリーム系の売上が上がっている。イートイン専用商品なので飲み物もセットでつける人が多い。


ロニが伯爵の別邸に住む様になり、放課後と休日、店を手伝ってくれている。

それも無償で!なんて良い人なんだ・・・!

最初はあれだけ嫌っていたのに、虫がいい話ではあるが。

伯爵家を継ぐのは長男と、補佐に次男と、三男以下は自分で生計を立てなくてはならず、ロニは目下のところ冒険者として生活するようだ。

貴族なので騎士になる方が良いらしいのだが、自由でいたいらしい。


そんなわけで店はロニとスー、トマ、たまにミカに手伝ってもらいながら営業している。

スーはシューやスポンジ、クッキーやタルトなども作れるようになり、大分上達した。

この調子でいけば卒業後、もしイチイが元の世界に帰ってもやっていけるだろう。





「いらっしゃいませ」


ドアベルが入店を知らせたので声を掛ける。


「お持ち帰りですか、店内でお召し上がりですか?」


「えぇ、実は、あの表のお菓子が欲しいのですが・・・」


「表の?どちらでしょう?」


どうやら苺のデコレーションケーキをご所望らしい。

幸いスーの焼いたスポンジもあるし、クリームも苺もある。問題はない。


「仕上げに少々お時間が掛かりますが、大丈夫ですか?」


「えぇ、昼過ぎに取りに参ります。代金はおいくらでしょう?」


原価・技術料を考えるとおそらく銀貨5枚ってところか。


初めてホールケーキが売れて、ちょっと嬉しい。

貴族のお茶会でもあるのだろうか。

上品そうな老紳士だった。執事かもしれない。



その翌日、また老紳士がやって来た。


「いらっしゃいませ」


「今日も昼過ぎにお菓子をひとつ、お願いしたいのですが」


二日連続なんて、気に入って貰えた証拠だろうか。


「はい。何に致しましょう?」


「昨日のものに見劣りしない、同等のものを・・・お勧めでお願いしたいのです」


「わかりました・・・苦手なものはございますか?」


「特にありません」



さて、何にしようか。


フルーツタルト?チーズケーキ?洋梨のムース?チョコレートケーキ?


結局、クリームを詰めたシューで小振りのクロカンブッシュを作った。

クリームはカスタードやダブルクリーム、カカオ風味など変化をつける。

それから飾り切りしたフルーツで色を足す。

よく店やテレビで見る飴細工で花を作りたかったが、生憎イチイにそこまでの腕はない。要練習だ。




それからこの老紳士は頻繁に来店するようになった。

平日の放課後は焼き菓子を中心に数点買い、休日になると大きなものを買っていく。

ごくたまに、老紳士がお茶をして帰っていくことも。

この上客のおかげで今月の売上は期待出来そうだ。








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