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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第一章
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6・Side. クライス

俺達はハロンの山を登るとき、ロハの町に滞在する。

ハロンの山には鉱物や珍しい薬草があるのだ。

採取クエストは俺達パーティの趣味ではないが、報酬が良いのでハロンの山にはたまに行く。

今回はロハに8日間滞在する予定だ。

その最終日に、俺達はイチイに出会った。



いつも世話になっている宿ではない、町の奥にある宿屋。

その下の男の子から頼まれたのだ。

若い女の子の旅人が、1人でニトロプリアに向かっているという。

しかも徒歩で。男の足で7日間かかる道のりである。

弱いとはいえモンスターも出るし危険だ。

コヅは男の子と一緒に来ていた姉に鼻の下を伸ばして了承していた。

確かにあの宿屋の長女は美人だが。


予定を早め、すぐにイチイに合流した。

女にしては珍しい、短く切られた黒髪。

安物の革の鎧を着てるけど、何だか神秘的だった。

あまり目にしない黒髪だからだろうか、なんかこう・・・変な色気っていうか。何言ってんだろ、俺。

女らしくはないけど、整った顔立ちだ。

冷たそうな印象だったけど、中身は気さくな感じだ。

食べることが好きらしく、食べ物の話を楽しそうに聞いてくれた。

普通女ってのは食べ物の話をあまりしない。

なんていうかわざとらしく気取っていて、花とか刺繍とか細工物の話ばっかりする。

楽しくとも何ともない話に延々付き合わされて辟易するのだ。

騎士を辞めた今はあんまりそんな女との付き合いもなくなったが。





野営では、その無防備さに驚いた。

鎧を脱ぎ、横になって、イチイはすぐに眠った。

少し寒そうだったので、俺の分の毛布をかけると、すり寄ってきた。

その様が仔猫のようで愛らしい。

髪を撫でるとほにゃりと笑った。

肌は白いし折れそうなくらい細いし髪はさらさらだし。

何かもう堪らない。

これ欲しいこれ欲しいこれ欲しい。

まだ成人してないし肉欲的なものではなく。

何かこう・・・可愛がりたい、愛でたいっていうか。


「クライスさん?」

「コヅ・・・」

「アンタ、何て顔してるんすか」

「へ?」

「いやまぁ良いですけど、珍しいなと思って」

「・・・何が?」

「・・・わかんないならいいんすけど」

「いやだから何が・・・」

「何でもないす。気にせんでください」

「?????」




コヅはクライスさんて馬鹿なだけじゃなくて鈍いのか、と納得したのだった。

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