76
3回目の休憩を短めに取ったが、その後は後方グループに追いつかれることもなく、目的の場所に着いた。
サイモンが立っていたのでそれがわかった。
「お疲れ様です。戦闘は1グループずつしてもらいたいので、ちょっと待ってくださいね」
左右に一本ずつ道があるので、2グループずつということなのだろう。
先に行った2グループともすれ違っていないのでまだ戦闘中のはずだ。
しかしちょっと長くないだろうか。
手こずっているのかな。
「左右共にミレイユ教諭とセルゲイ教諭がいますので危険はない筈です。でもちょっと、長いですねぇ」
獣型モンスターなので確かにスピードがある。今までそういうモンスターではなかったし、手こずっても不思議ではない。
素材を剥ぐのも初めてだろうし。
そうこうしているうちにヘレンの方のグループが戻ってきた。
「あ、終わりました」
「はい、お帰りなさい。帰りも気を付けてくださいね」
「はい」
軽く手を振って、ヘレンたちは帰路についた。
イチイたちはヘレンたちの来た方へ進む。
すぐに獣型モンスターが出現した。
基本は一人一匹だ。
まずは攻撃担当の3人が仕留める。
しかしスピードがあるのでなかなか命中しない。
なるほど、これでは魔力が枯渇しかねない。
真っ先に尽きたスーに、離脱場所で回復薬と薬草を渡す。
苦いけど我慢して飲み込んで貰い、口直しにカカオをあげる。
マーサが光魔法で目暗ましを、トマが緑魔法で捕獲、留めを交代で刺す、という連携プレーを行う。
留めを刺したらすぐに素材を剥ぐ。
マーサやトマが仕留めるときはスーとイチイで補助を行った。
イチイ以外、今は未だ動く対象に複数の魔法を掛けるのは難しい。
素材を剥ぎ終わり、サイモンのところへ戻る。
現在時刻は昼下がり。
夕暮れには十分間に合いそうだ。
「お帰りなさい。すいませんが、お願いが・・・」
「何でしょう?」
「まだ最初のグループが戻らないので、ちょっと見に行って来たいんです。少しの間、ここで待っていて貰えませんか?」
「わかりました」
サイモンは待っていたグループをイチイたちが来た方の道へ促し、自身は逆の道を行く。
程なくして、セルゲイとサイモンが魔力・体力切れした生徒5人を抱えて帰って来た。
いい気味だ。
イチイはブラックマンににっこりと笑う。
「どうしたんです?まさか落ちこぼれにでも出来ることが出来なかったわけじゃあ、ないですよね?」
漏れていたらしい冷気にセルゲイまでが顔を青くしていたという。