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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第五章
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夏期休暇が明け、自然魔法の授業が少々変わった。

週に4コマあるうち1コマはそのままクラス単位、もう1コマは前回のグループわけのまま。

残り2コマも専門を選択することになり、イチイは補助魔法と防御魔法にした。

補助魔法はトマとスーと同じで、防御ではカトレアとメグと同じだ。


校外実習もこれらを見て、バランスの良いパーティを教諭側で組むらしい。

基本形は攻撃3人、補助1人、回復1人となるようだ。

回復魔法を上手に使える生徒は少ないので、パーティ作りは大変そうだ。




イチイの選択している魔法は、人数の少ない地魔法だ。

詠唱以外、得意も不得意もないからである。


この授業では地魔法の基礎の基礎から中級まで進んでいる。

個人差はあるだろうが、授業の内容は2年の終わりに上級まで進むだろう。

合間に応用や個人研究も入るので、イチイはこの授業が気に入っている。

簡単な地面の凹凸の変化は基礎の基礎、基礎は地の壁、初級で石礫、中級で地震や簡単なゴーレム、上級だと地の龍や岩礫、本格的なゴーレムなどだ。


個人研究で勝手に彫刻を作り動かすのは楽しい。

ゴーレムは一応型が決まっているが、個人研究ならどんな形でもOKだ。

最近のお気に入りはセルゲイの彫刻で変な踊りをさせること。

単なる悪ふざけ、悪ノリなんだが地魔法担当教諭はセルゲイが嫌いらしく、楽しそうだ。

周りの生徒にも受けている。

その様子をこっそり見たセルゲイはますますイチイから逃げるのだが、気付いてないイチイは首を傾げるばかりだ。


後は地震を利用したアトラクション。

昔デパートの屋上にあったような、動物が前後に揺れるもの。

バリエーションを増やせば遊園地が作れそうだ。

ホラーハウスの要所要所で地震が起きれば吃驚させられそうだし。


火魔法や水魔法など、割と本格的に殺伐としているというか、いうなれば受験生、地魔法は人数が少ないせいかイチイのせいか、賑やかというか遊んでいるというか・・・幼稚園のようである。

その割にイチイに引っ張られて意外と実力は付いている。

イチイのこの世界にない自由な発想や実践に基づくズル賢いワザ(?)は、中々役に立っているようである。

イチイは知らないが、他の教室では初級で止まっていたりする生徒もかなりいる。それに比べて地魔法では全員中級、それも上級に片足つっこんだ状態と優秀なのである。

ただしイチイは詠唱が出来ないので、成績で言えば今年いっぱい最下位なのだが。



「各魔法試合っていうのも楽しそうだな」


「各魔法試合?」


「魔法グループ別だ。人数少ないのに地魔法がトップ独走しそうで面白いな。提案してみるか」


セルゲイを挑発するのはちょろい、と不精ヒゲのちょい悪オヤジはにやりと笑った。

確かに、とイチイも同意する。


その様子を見て他の生徒は何も知らないセルゲイに両手を合わせた。




―――――――― ご愁傷様です。










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