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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第四章
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今回のお土産は、珊瑚を使った髪飾りである。

ヘレンにはコーム型、カトレアにはまとめ髪の仕上げに使える簪のような形、メグにはヘアゴム型で、それぞれがいつもしている髪型にあったものにしてみた。


おお、女子っぽい。


女子は基本髪が長く、短いひとは見たことがない。

だからそれが常識で、髪が短いイチイは男に見られたのだ。

そうに違いない。決してささやかすぎる胸のせいではない。


「かわいい!ありがとう、イチイ!ヘーリング王国へ行って来たの?」


「うん。3日間だけだけど、楽しかった!」


「いいわね、私も行ってみたいわ。ただし冬に」


貴族は夏は避暑地へ行くので、ヘーリング王国は冬、人気があるようだ。

夏はチガヤ王国が人気である。


ヘレンからは刺しゅう入りのハンカチ、カトレアからは綺麗な小瓶、メグからはレース編みのコサージュだった。


「これで少しは女らしくなりなさい」


「・・・ハイ」


皆で合わせたようだ。


髪を伸ばせばそれなりに女らしく見えるかもしれないが、それは出来ない相談だ。

ロングが嫌いなわけではないが、慣れないから何となく倦厭してしまうというか。

服も、銅貨一枚で買えるシンプルな動きやすいもののままなので、貴族の女子からしてみればありえないのかもしれない。

せめて白シャツにでもするか。


そしてようやく、レンの弟子で一緒に暮らしていること、ヒツジ商会のことを話した。

実習で無詠唱で雷魔法を使っていたこともあり、何となくそうではないかと思っていたらしい。

レンは有数の光魔法の使い手だ。






「イチイ」


「ケイト」


ケイトに会うのは久しぶりだ。

夏期休暇は勿論、最後の1ヶ月は昼寝場所に行ってないので会うことがなかったのだ。


「これ土産」


「ありがとう。私も、これ」


男子にはもちろん食べ物である。

イチイの中ではヘーリングイコールゼラチン、その繋がりでマシュマロだ。


「炙って食べると美味しいよ」


ケイトからはかわいい紐だ。


「シャツのリボンにしたりバッグにアクセサリーにしてつけるんだと。流行ってるらしくて姉上に絶対それにしろって言われたんだわ」


「へぇ、かわいいね」


少し明るめの青と水色の2色なのでローブにも合わせやすい。

白シャツを買って制服にしちゃうか。


ケイトにもレンの弟子であることやヒツジ商会のことを話す。

これはレンの提案で、無詠唱で雷魔法を使ったことでどうせ注目を浴びるなら、一緒に全部広めてしまえということだ。

親しい人にいずれ違うところから耳に入れるくらいなら、自分で言う方が良いとイチイも賛成した。






とは言っても、君らには別にいう気はなかったんだが。


「イチイ・ディ・プリアレスト」


「はい、何でしょう」


「受け取れ」


オースティンから渡されたのは綺麗な石のついたヘアピンだった。

確かにヘアピンならイチイの髪の長さでも使えるが。


どういうつもりだろう。

ライバル認定から次は友情認定か?

少年漫画っぽいなぁ。

イチイも御返しにマシュマロを渡す。

甘いものは苦手そうだが仕方ない。これしかないのだ。


「良い?これはお土産ではないの。前回たまったま、助けられたから借りを返すの、それだけなんだからね!?」


マーサからはオースティンと同じ石のついたタイピンだった。

何故か話したことのないリンクから紺の細見のネクタイをもらう。

妹に巻き込まれたのか。

それぞれにもマシュマロを渡し、ついでなのでレンの弟子であることやヒツジ商会のことも話す。ヒツジ商会については単なる宣伝のようなものだ。





あとはミレイユやサイモン、クロケッタなど教諭方々に土産を配り、トマたちが店の様子を見に来るのでそこで土産を渡せば終了だ。







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