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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第四章
71/154

69

せめてゆっくり喋ってください。

ヒアリングが出来ません。



『ディア、通じてないわよ』


ロウェナの言葉は辛うじて聞き取れた。

その言葉に落ち着いたのか、青年はストン、と椅子に座った。


『初めまして。私の名前はディア。君は?』


『イチイ』


残念ながらイチイには、ヘーリング語の敬語が話せない。

年上なんだろうが、敬語は無理だ。


『イチイ・・・私のものになってほしい』


「はい?」


えーと、口説かれてるのではなく、お抱え菓子職人って意味だよね。


「あー、『学生だから、無理』


で、合ってるかな。


『では、卒業後に私のものになってほしい』


専属契約って意味で本当に良いのだろうか。

レンに助けを求めるべく、視線をやるとレンの表情が、ものすごいことに。

こわ!


『イチイは駄目だ』


『何故?』


『イチイは僕の嫁になる』


聞き取れない。早口すぎるんだけど!


『まぁ!そうなの。おめでとう!』


ロウェナだけがゆっくりした口調なので辛うじて聞き取れるが、会話の流れが掴めない。


『嫁?』


今度は割と聞き取れたけど、訳がわからない。

この単語は習ってないな。


『・・・女なのか?』





ぺたり。



・・・。


・・・・・。


・・・・・・・。





動けない。堂々としすぎて逆に動けない。


イチイは胸を触られたまま、悲鳴を上げることも出来ず、茫然としている。


女なのかって言われた。

それは聞き取れた。

男に見えるってことだろう。それはいい。しかしこの確かめ方ってありか!?


『やっぱり男だろう?』


イチイは百のダメージを受けた。


「どうせ!ささやか過ぎる胸ですよ!」


イチイのストレートが炸裂。

ディアは千のダメージを受けた。







『申し訳ない。男だと思ったので口説いた。女には興味ない』


そうか、ホモのひとか。それなら胸を触られるのはイチイルールでいうとOKだ。

何故なら同性のようなものだからだ。

というか口説かれていたのか。専属の話ではなくて。


『お詫びに何でもしよう。欲しいものがあるなら用意する』


「マジで!?『ゼラチンが欲しい。安価で定期的にイスフェリアに流通してほしい』


我儘すぎるだろうか。


『そんなことで良いのか。イスフェリアへの定期便に乗せることにしよう』


『ありがとう』


『・・・男だったらど真ん中だったのにな』


『それは褒め言葉なのか・・・?』



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