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女子の悲鳴で目が覚めた。
確かに今回、前回同様に終る筈はないと思っていたが、これはやりすぎでは?
ニトロプリア近くで出現した、あのモンスターである。
弱点が雷とわかっているので大丈夫なんだろうが・・・ほぼ全員、完全にパニック状態である。
今までスライムとか蝙蝠でいきなりこれはないだろう。
「落ち付け!マーサ・ラガッツァ!光魔法得意だって言ったよね?そいつの弱点雷だから!」
「無理ぃぃ!」
何でだ。
「雷は派生魔法だもん!2年生じゃ無理に決まってるでしょぉっ!」
そんなの習ったっけ。
自然魔法の筆記は成績優秀だが記憶にない。
槍も弓もないので目玉を狙うという芸当は難しい。
「誰か雷魔法使える人は?」
いないらしい。
「もーいーじゃん!イチイがやって!」
まぁ緊急事態なのでしょうがない。
ばれたら凄く困るって程でもないし。
掌で雷を起こしそれを棒状に変化させる。
そしてそれをモンスターに向かって投げる。
どれくらいの雷撃で倒せるかわからないので、用心のために数本作りだして突き刺していく。
断末魔の悲鳴をあげ、果てる。
急いで駆け寄り素材を剥がしていく。
よし、コイン稼げる。
割とがめついな、とイチイは苦笑いした。
「しかし先生、難易度いきなり上げすぎですよ」
「うーん・・・」
「本当ですよー!弱点わかっても雷魔法って早々使える人いないのに!」
「本当はアレじゃなかったのよね」
「・・・どういうことですか?」
「本当は帰りに泉に寄る予定だったの。そこに軽い毒を持ったモンスターがいるから。アレは学校側としてもイレギュラーなモンスターだったわけ」
「そんなことが・・・」
「あのモンスターの出自は明らかになってないのよ。結界内に突然現れたとなると・・・どういうことかしら、ギルドに報告しないとね」
そういえば前にあのモンスターを見た時も普段は出ないといわれる森の中だった。
森で生まれるモンスターなのかな。
「まぁ泉には寄らなくても良いわね。早く戻って休んだ方が良いわ」
学校側の配慮なのか、実習点は全員100Ptだった。