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前回同様最終日、ミレイユの同行で校外実習が行われる。
「今日の夕飯は何かしら?」
「気が早いです、ミレイユ先生」
まだ森の中に入ってもいません。
米の持ち込みが可能ならば、カレーライスとかバーベキューとか、アウトドアなことをしたかったのだが、流石に米は食糧だ。調味料とは言い張れない。残念。
野営地は前回と同じ。
同じ道筋を辿って行く。
トマが前回で見憶えたむかごや林檎を収穫する。
イチイは地魔法を使い、山芋を収穫する。
他のメンバーも戦闘をこなしながら果物や木の実を捥いでいく。
途中鶉を見かけたので鶉と卵も頂く。
元の世界だと絶対出来ないな。食べはするくせに。
マーサ・リンク・オースティンも見様見真似で果物や木の実を捥いでいる。
今回は一緒に調理出来るかもしれない。
野営地到着。
「今回は、皆一緒に調理で良いですか?」
主にマーサに向けて発言する。
「しょうがないわね!・・・勘違いしないでよ!貴方を認めたわけじゃないんだから!」
え、何これ。ツンデレ?
焚き火番兼スープのむかご係にミカとヘレンとリンクとマーサ、兎係にイチイとオースティン、川魚係にトマとスー、ハーブ・林檎係にカトレアとメグとなった。
それぞれの方向に歩き出し、すぐに兎は見つかった。
さくさく捌いていく。
「見事だな」
「慣れてるから」
「慣れて・・・?狩りをするのか」
「狩りっていうか元々冒険者だから」
この会話2回目だ。相手は違うけど。
「弓は苦手だから狩りにならないかも。弓はトマが上手い」
「なるほど・・・あの型破りは実践で培ったのだな」
「えぇ・・・いやぁ・・・棒はどうだろう・・・」
「違うのか?」
「うーん、棒は使わないから。ほら、武器これだし。これの前は槍だったけど」
「すごいな」
真剣に感心されると、何だか照れ臭い。
その後もう1匹仕留め、オースティンに兎の捌き方を伝授。
野営地に戻ると他のメンバーも戻っていた。
トマとスーはそのまま川魚に枝を通し、焼き始める。
スープには大きめにカットされた兎が入る。トマトもあったので、今回はトマトスープだ。
イチイは離れた場所で鶉を捌き、山芋を摩り下ろし、川海老と卵と調味料を加え味を調える。
大きな石を熱して、その上で鶉を焼く。塩胡椒で味付ける。
その後摩り下ろした山芋を焼く。
お好みソースが欲しいところだが存在しないので、醤油ベースのソースを作った。
「今回もすごいわね~」
ミレイユ大喜びである。
今回は全チームが調味料を持って来ていたので、割と美味しいものは食べている筈だが。
「旨い」
Bクラスのメンバーも文句を言わず、美味しそうに食べてるので良かった。
マーサは何か言ってくるかと思ったんだが。
「この山芋って、美味しいね!初めて食べた」
トマも嬉しそうだ。トマは食べたことのないものが好きだ。
食後に林檎とハーブティでデザートにして、交替で仮眠を取る。
イチイは後で仮眠だ。
前半は特に何事もなく、イチイは只管蝙蝠型から素材を剥いだ。