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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第四章
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63 Side.オースティン

初めて彼女を見たのは、入学式の日だ。

自分と同じ、割と珍しい黒髪だったからだ。

女性にしては珍しい長身と、短い髪が印象的だった。




目立つ人だったから、よく目に付いた。

噂では落ちこぼれだと言われていたが、そんなことはどうでも良かった。

初めての月末テストで、一位にその名を確認したときは、驚いた。

同時に、悔しく思った。自分は6位だったから。



話す機会がないまま進級。

一年次は剣術だったので、二年次では棒術を選んだ。

彼女が一年次で棒術だったと知ったのはそのあとだ。

担当教諭が「また今年も珍しい黒髪が一番になりそうだな」と言ったことでだ。

詳しく聞いてみると、型破りな戦法で、実践に強そうなタイプだという。

型破りはともかく、実践に強そうというのはかなりの褒め言葉だと思う。

興味半分、悔しいの半分といった感じだ。



話す機会は二年次3回目の月末テストで訪れた。

校外実習のグループが同じだったのだ。

何て運が良いのだろう。

近くで見ると、一層美しさを感じた。

煌びやかな美しさではなく、凛々しさを伴う美しさだ。



校外実習中、ずっと彼女を見ていた。

変わった形の得物を持ち、魔法を使わずモンスターを滅していく。

魔法が苦手というのは本当なのかもしれない。

手際よく素材を剥ぎ取り、木の実や果物を捥ぎとっていく。


調理が別になってしまったのは残念だった。

彼女の作ったものを食べたかった。

鍋や調味料を持参していたので、野営に慣れているのか料理が好きなのか、どちらかだろう。

仮眠が一緒だったので、少し話が出来たのは嬉しかった。





校外実習で知り合えたことが嬉しくて、少し浮かれていた。

校内で見掛ける度、声を掛けた。

知り合いなのだから、おかしくないはずだ。

不審がられてはいたかもしれないが。

まぁそのおかげで棒術の試合が出来るようになったのは嬉しい誤算だ。


担当教諭が言うとおり、型破りな戦法だった。

全く予想がつかない。

何故棒が伸びたのだろう。

魔法は禁止だったので使っていないはずだ。

彼女はルールを破るような人ではない。

穴はつくだろうが。


もっと精進して、彼女に勝たなければならない。

彼女より強くないと、彼女を守れないではないか。
















誰にも語っていないはずのオースティンの胸の内だが、割とバレバレである。

トマは面白がって兄に封書を送った。

受取人は気になって仕方がなかったのか、そのうち学校を訪れてることとなる。







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