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月末テストの結果は630点。
減点の振り分けはいつものように自然魔法で50点、言語で15点、実習で5点だった。
点数を伸ばすなら言語を猛勉強するしかない。
自販機の売上も金貨5枚と上々だ。
商品の減りが早かったのはカカオパウンドとカラメルナッツのシフォンだった。
味の変化も付けないと消費者は飽きてしまう。
特に女子は新しいものに目がない。男子は割と定番を求めるのだが。
「イチイ、お店やれば良いのに」
「いつかはやりたいと思ってるよ」
「いつか、いつ?」
上からトマ、イチイ、スーである。
現在レンの家で菓子作りを終え、オヤツタイム試食タイムだ。
今回はオヤツ用のアップルパイと商品用のパルミエである。
「時間に余裕が出来て、学費返済が終わって、資本金が貯まったら。卒業するくらいには開けるんじゃないかな」
土地が買えると良いが駄目なら貸店舗、もしくは屋台という手もある。
屋台は割と安価なので自販機の収入で賄えるのだ。
「今からやろうよー。放課後と休日だけ開店すれば良いよ!おれ手伝うし」
「短い時間だけだとたぶん、店舗代だけでとんじゃうんじゃないかな」
それに店をやり始めるとさすがにクエストの時間が取れなくなる。
そうなると返済にかかる時間が延びる。
とにかく返済が最優先である。
「自販機をもう一台増やしたいとは思ってるけどね」
「あれ一台どれくらいするの?」
「ん?費用は掛かってない。木製だから」
アップルパイを黙々と食べていたミカの手が止まった。
「・・・もしやあれは、自作なのか?」
「レンに見て貰いながら作ったんだけど・・・どうかしました?」
「・・・・・・・・・・もう、いい」
「?」
「とりあえずもう一台、設置しようよ。そしたら収入も増えるし」
「場所は?」
「学校の入口前の広場!あそこなら学校長の許可で良いし、一般人でも自由に出入り出来るから良いと思うんだ」
「なるほど。レンに学校長に話してもらおう。そうなると・・・一台目に防水だけ追加で掛ければ良いかな」
元々盗難防止に魔法は色々掛けてあるのだ。屋外対策だけ考えれば良いだろう。
一台目の評判も良かったし、レンというコネもあるしでとんとん拍子に話は進んだ。
学校外は平民も多く、一台目との差別化を図るため、2層に分かれた自販機にした。
銅貨一枚のバターを使った焼き菓子メインと、穴あき一枚の飴細工やメレンゲ菓子メインのものだ。
どちらかを気に入り、もう片方にも興味を持ってもらえれば良いなという考えだ。
貴族も飴を食べれば良いし、平民も焼き菓子を食べてほしい。
色々問題はあるかもしれないが、試して損はない。
売上がイマイチなようなら片方に絞っても良いし。
物は試しである。