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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第四章
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60・夜の森2

野営地に到着した。

中央に焚き火跡があり、周りには丸太で長椅子が作られている。


「食料は割と取ってあるけど」


麻袋の中身を広げる。

男子が多いので人数分には少ないかもしれない。


「調理はどうする?」


イチイが仕切るとBクラスが反発しそうなので、下手な発言は出来ない。


「別々にしましょう」


マーサ・ラガッツァならそう言うと思った。

だけどこれは実習である。


「私はいいけど・・・ミレイユ先生、減点対象になりますかね?」


「そうね・・・その件に関しては減点しないでおくわ。野営地での食事に関しては、別々に点をつけることにします。ただし、人数の都合もあるので仮眠に関しては協力するように」



そんなわけでBクラスの3人のみ別に調理することになった。

焚き火跡はBクラスに譲り、新しく焚き火を起こす。

大きめの石で囲い、かまど風にする。


「ん~・・・私の好きにやっちゃって良いかな?」


一応許可を取る。

Aクラスは迷いなくOKを出し、ヘレンたちも経験者の言うことを聞く、と賛同してくれた。


まずは焚き火に持参した鍋を置く。

水魔法と熱魔法を使い、湯を張る。時間の短縮だ。


取っておいたむかごをトマに渡す。


「これ、何?」


「むかごっていうんだけど、これを熱魔法で加熱して、皮を剥いてから鍋に入れていってくれる?」


「わかった!」


本当はむかごの下にある山芋も欲しかった。

だけど流石に実習中は無理だと思い、諦めた。

そして今になって気付く。

地魔法、使えば良かったんだと。



「わたくしたちは何をしたら良いかしら?」


「3人くらいは対モンスターの方が良いかな。もうひとりむかごと・・・スーは林檎の芯を取ってくれる?」


「はい!」


その間にイチイは森に入り、獲物を探す。

何故かミレイユがついて来る。

1人離れたのがまずかったのだろうか。


「一人行動は駄目でしょうか」


「あぁ、違うの。面白そうだったからついてきただけよ」


そんな理由で良いのか教職員。


「あちらにはミカルエレファンデ君がいますから」


なるほど、ミカは優秀らしい。


「このグループが戦闘能力で言えば一番心配がないわ」


「戦闘能力で言えば、ですか」


「チームワークが良いとは言えないわね」


「違いありません」


程なく兎を見つけ、仕留めた。

その場で捌く。


「手際が良いわね」


「冒険者ですから」


川もあったので川魚も取る。

あとは帰り道で茸を摘み取る。



兎と茸は下処理をして鍋に入れる。

持参した調味料で味付けし、スープにする。

川魚はそのまま木の枝に挿し塩を振り、焼き魚に。

スーに芯を抜いてもらった林檎には、中心にバターとシナモンを入れ、蒸し焼きする。

主食になるものはないが、スープにむかごが入っているので良いだろう。


火を通している間に、足りない分の食器を作る。

単純に木を削って固定化を掛けるだけだ。

お湯を出し、摘んできたハーブを入れてハーブティにする。


「すごいわ。美味しそう!」


「野営でも夕食が美味しいのって良いわね」


ミレイユも満足そうに頷く。


「ここのグループの夕食が一番美味しいわね」


持ち込み禁止欄に携帯食や小麦などの材料とあったので、調味料の持ち込みも禁止と思ったのか、持ち込んだのは少数だったそうだ。無理もない。

イチイは腹の膨れる食糧ではない、と言い張るつもりで持ってきていたのだ。


「ウサギと魚、デザートまでついた夕食はここだけだもの」


ミレイユの担当以外でいたかもしれないが、この4日間、まともな夕食と摂れていなかったとミレイユが愚痴る。いいのか教職員。




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