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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第四章
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59・夜の森

3回目の校外実習がやって来た。

今回はABC各クラス1グループ、計3グループ約12人の大人数演習である。

夜の森を体験するのがテーマのようで、一晩で1グループ、4日に分けての実習となる。


お互いの希望により、Aクラスのグループはトマ・ミカ・スー。

この3人は今回からグループを組むことにしたらしい。

因みにBクラスのグループはイチイの知らない人間だった。

薬学・魔方陣・棒術・体術、どの授業でも見た覚えがない。

覚えてないだけの可能性もあるが。

AもBも人数の都合で3人ずつ、計10人の学年最少人数のグループになってしまった。


夜の森体験の目的は、夜の森を歩くこと、夜のモンスターと対峙すること、交替で仮眠を取ること、である。

そもそも貴族が多いので、ある種の甘えた根性叩き直してやる、ということらしい。

基本お上品なので、野営が出来ない事が多いらしい。中には虫にいちいち悲鳴を上げる生徒もいるとか。虫除け魔法を早々に習得しろと言いたい。


因みに悲鳴を上げそうなヘレン・カトレア・メグは習得済みである。・・・強制的に。




名前を知らないと不便なので、森へ入る前に自己紹介である。


「トーマス・プリアレストです。よろしくお願いします!」


「ミカルエレファンデ・フィオ・リオレサーエルだ。魔法は一通り使える。よろしく頼む」


「スー、です!」


・・・個性が出るよね、自己紹介って。

っていうかスーはそれで良いんだ・・・。


本来なら身分の低い者から名乗るものらしいが、ここは学校だし、今回の担当であるミレイユがAクラスから自己紹介をすると言ったので良いらしい。



「マーサ・ラガッツァです。得意魔法は光魔法です」


Bクラスグループの紅一点、金髪碧眼の小柄な少女だ。


「リンク・ラガッツァ。マーサの兄だ。得意魔法は火」


金髪碧眼の、マーサとよく似た少年だ。背は平均くらいあり、マーサとは大分違う。


「オースティン・バンス。2人とは幼馴染だ。得意魔法は・・・火、かな。今は棒術の授業と取っている、イチイ・ディ・プリアレスト、貴殿の噂はかねがね」


グループ内で一番の上背を誇る、イチイと同じく珍しい黒髪だ。目の色は緑である。

オースティンの目に闘志が宿っている気がする、ライバル宣言か?

棒術の授業で何か言われたのだろうか。


ヘレンがこっそりと耳打ちしてくれた。

どうやら今期棒術の一位らしい。

勘弁してください。




「ヘレン・アルフレシアですわ。得意魔法は、風魔法。弓の扱いも心得ておりますわ」


「カトレア・サードです。得意魔法は水で・・・う~・・・はい、よろしくお願いします」


「メグ・ワイスです。防御魔法が得意です」



カトレアとメグの家名、初めて聞いたかも。


「イチイ・ディ・プリアレスト。野営の経験はあります」


どうせBクラスにこれだから平民は、と思われているので先に申告しておこう。

表向き魔法不得意になっているし、言うこともないし。



自己紹介が終わり、森に入る。

野営地に辿り着く前に食糧を確保し、夕食を取ったあと交替で仮眠を取るのだ。

その後夜が明けてから森を抜ける。

夕暮れから開始ということで、野営地に着くまでに暗くなる。

出来るだけ明るいうちに獲物を探さないといけない。


人数が多いのでぞろぞろと歩き始める。

Bクラスが先頭、続いてC、最後にAと周囲を警戒しながら進む。

戦闘をこなしながらも、食糧を探すことは忘れない。

夕食抜きは嫌だ。


「スー、これ、食べたことある?」


林檎を捥ぎながら尋ねると、スーはふるふると首を振った。


「美味しいよ」


スーはぱぁっと目を輝かせ、林檎を必死に捥いでいく。


「・・・もしかして、その大きな荷物の中身」


「・・・スパイスとか調味料とか?」


えへ。

だって持って来てはいけないものリストに載ってなかったし!


「・・・まぁ良いけどな。うまいものが食べられるのはありがたい」


「ミカ様がそんなこというの、珍しいですね」


「その場合、私もご相伴に与れるのかしら?」


「・・・もちろんです、ミレイユ先生」


教諭だけないってどんななの。

そもそも夕食もポイントに入るんじゃないのだろうか。





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