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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第四章
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57・体術授業

こちらの世界の体術は、イチイの知る限りではボクシングに近い気がする。

拳オンリーなところが。

イチイはボクシングを良く知らないので拳オンリーなのかどうかも実のところ知らない。

単なるイメージだ。

ルールは明確に決まっているわけではないのだが、普段剣を持って戦う人間が剣を折ってしまった場合の戦い方という感じなのだ。

まったく実用的ではない。

それならば兄貴の練習に付き合ってやっていた柔道の方がまだ使える。

まぁ人間しか衣服を着ないのでモンスター相手には使えない上、鎧で重い人間も軽量化を掛けない限りは使えないのでこちらも実用的ではないが。

そもそも素手が間違っている。

そう考えると足技が一番効果的か。もしくは猫だましか?




日頃の授業では安全のためのグローブをつけて組み手を行う。

イチイにはこのグローブのせいで、ボクシングのイメージにつながっている。

最初の組み手で、イチイがつい、足払いをしてしまった為、担当教諭に目を付けられた。

悪い意味ではない。

生粋の格闘家な担当教諭、名はディビット。

イチイの使う見たことのない技に興味津津、毎授業観察されるかディビットとの組み手となる。

そのたびに柔道だったり合気道だったりキックだったり見よう見真似で技を繰り出す。

勿論素人なので詳しくないし洗練されてもないのだが、この世界にあまり素手の武術がないようで、ディビットは満足しているようだ。

それはそうだ。

モンスターが繁栄している世界で素手の武術なんて無謀も良いところだ。


「イチイ、この前の技を教えてくれ!」


「この前ってどれですか」


「こう、後ろに倒れたかと思ったら、ぽーんと!」


「ああ、巴投げ・・・いいですけどディビット先生では無理です。相手役は軽い人にしてください」


そういうと周りの生徒が一斉にひく。

目を逸らす。


しかし残念なことに、小柄な生徒がひとり、生贄としてディビットによって引きずられてくる。

ご愁傷様・・・。

毎時間の恒例行事になりつつある。

これを見越してなのか、イチイの組み手相手はいるも小柄な生徒にされている。



月末テストでは、体術もトーナメント制なのだが、ディビットがルール無用足技投げ技掴み技オールオッケーにしてしまったのでイチイの優勝でほぼ決まっている。

相手の出方がわからなさすぎて、イチイの相手は難しいのだろう。


不平不満が出そうなものだが、意外と出ていないようだ。

魔法使いなので武術系に興味がないのかもしれない。

単純に拳オンリーでもイチイに勝てると誰も思っていないので誰も不満を出さないのだとは、この先イチイが知ることはない。



この授業のあとは汗をかくので、こっそりと水魔法と熱魔法で服のままシャワーを浴び、風魔法と熱魔法で乾かしている。

流石に石鹸はないけど、さっぱりする。


たまには体を動かさないと鈍るので、イチイは割とこの授業が好きだ。




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