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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第四章
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ヒツジ商会の売上、初月金貨1枚。

次月なんと、金貨3枚也。

因みにこの額は2割の税金を支払ったあとである。

厳密にいうと原材料費を引いていないので、利益自体はもう少し低いのであるが。



そんなわけでヒツジ商会は順調です。

学校長の許可をもらい、城下町の菓子屋が自販機の偵察に来たりしていましたが。

何か茫然としていましたが。



そんでもって、何故かの賄賂?やって来ました。

金銭送るよりよっぽど効果的な賄賂だな。



そう、カカオが送られてきたのです。



カカオといっても、カカオ豆そのものではない。

要するに製菓用のスイートチョコレートである。

リリスフィアの特産品で、そちらの方ではカカオという名で流通しているらしい。

レンがカカオというのでイチイもカカオと言っているだけである。



「嬉しいけど、これ、どうしたの?」


「ヒツジ商会のファンで、弟子入り志望だそうだ」


「弟子・・・入り・・・?」


「雇えば良いんじゃないか?」


正直なところ、雇う余裕はない。

というより必要がない。

お菓子のストックは週に何度か大量に作り、保存魔法をかけている。

同じものを大量に作るのは、数回に分けて作るより、かなり楽なのだ。

魔法万歳。

今のところ売り上げが何倍かになっても余裕がある。


どうせ人手が増えるなら、もっと事業を大きくしたい。

だけど1人増えたくらいじゃなぁ・・・。


「ん~・・・」


長い目で見れば人を育てるのは良いことだが、その人がどういうつもりなのかわからないと何ともいえない。

とにかく。


「会ってみよう」









「あれ、イチイ。どうしたの?」


「トマ。あのさ、えーと・・・あー・・・スーってコ、いる?」


長い名前は忘れました。


「スー?えー?」


「はい!スーです!」


トマとイチイの間に、突然ちびっこが現れた。


「あ、この前の」


「!王子さま」


「王子様?えっと、君がスー?」


「はい!王子さま、スーに用事?」


「うん、用事。ちょっと良いかな?」


「良いです」


その様子を黙ってみていたミカとトマも付いてくると言い出し、皆でイチイの昼寝スポットへ行く。


「ではまずこちら。どうぞ」


スーにカカオのシフォンケーキを渡す。


「カカオ、ありがとう」


「どういたしまして!王子さま、ヒツジ?スー、弟子入り、良い?」


「そのことなんだけど・・・弟子入りって、お菓子の作り方が知りたいってことかな?」


「知りたい。ヒツジで働く、ずっと」


「ずっと?」


黙っていたトマとミカだったが、埒が明かないと思ったのか、ミカとスーがイチイの知らない言語で話し出す。きっとリリスフィア語なのだろう。

再来年はこの言語を勉強しないとならない。難しそうだ。


「魔法学校卒業後、ヒツジ商会で働きたいらしい。カカオは弟子入り料だから、弟子入りさせてくれるなら定期的に送ってもらう、と」


「弟子入りと働くは別モノってこと?」


「お菓子は作ったこともないから、きっとまともに働けないので、在学中に少しずつ教わりたいと。これが弟子入りだな。それで卒業後、ヒツジ商会で働きたい、と」


「ん~・・・ヒツジ商会、いつまであるかわからないんだよね。まぁ私が辞めるとき引き継いでもらえばいっか」


意外と簡単に決まってしまった。

在学中は弟子入りということで菓子の作り方を教える。

カカオは定期的に貰える。

卒業後、ヒツジ商会で働いてもらう。

その時にカカオは取引を結べば良いだろう。

卒業を目途に事業を拡大するのもよいかも知れない。

イチイが元の世界に帰るとき、スーに引き継いで貰えば良い。

もしスーが独立するならそれでも良いし。


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