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早いものでもう2回目の月末テストである。
筆記は片付き、残るは校外実習のみである。
前回と同じグループで、前回の反省点を活かすことが、今回の課題である。
場所も同じ演習の森だ。
今回の作戦はイチイを前方特攻とし、残るメンバーが周辺サポートとなった。
ヘレンは後方担当、カトレアが右方担当とヘレン・イチイに防御魔法を、メグが左方担当と全体の回復魔法である。
そして前回イチイは魔法を使っていないので、何でも良いから使うようにとヘレンから脅された。
「火事場の何とかよ、イチイ!」
「いやだから、呪文が苦手なだけなんだってば・・・」
燃えているヘレンは聞いちゃいない。
前回マイナス5点と実は最高得点だったのだが、何グループかが同点トップだったため、今回は満点でトップになるのだと燃えているらしい。
今回も前回と同じ担当がつくらしい。サイモンだった。
森の奥へ進む。
今回は前回よりさらに奥に進むらしい。
少しモンスターのレベルが上がっている。
前回はスライムと虫型だったのが、今回はキノコっぽいのがいる。
「毒を持っているわ、解毒魔法は取得済みだけど気をつけて」
毒キノコが出るとは聞いていないので、もしかしてイレギュラーに対する反応もみられているかもしれない。
「了解。行きます」
跳躍して一気に間合いを詰め、斬り捨てる。
周辺の毒キノコ3匹ほど仕留め、定位置に戻る。
「周辺状況は?」
「モンスターの気配はありませんわ」
イチイはわかっているが、それでも確認する。
そうしないとグループ実習の意味がないからだ。
モンスターの気配はないが、警戒は怠らない。
というか、警戒は怠りませんよ、というアピール。
テストってそんなもんだよなぁ、とイチイは思う。
何だか捻くれてないか?
それから何度か戦闘をこなし、イチイは物理攻撃以外にも地魔法で攻撃をするなど、一応魔法を使った。無詠唱だったので、サイモンしか気付いていない可能性もあるが。
こうして2回目の校外実習は無事終了した。
今回は減点なしでヘレンの機嫌もよく、イチイの点数は648点と中々の出来だった。