46・2年生
春期休暇が明けてイチイたちは2年生になった。
クラスメイトの変動は特になかった。
ようやく選択授業に魔方陣を選べるようになった。
任意選択は勿論魔方陣、選択は体術を選んだ。
前年度と同じものは選べないのである。
必須では王国歴が終わったので世界歴になり、王国の言語が隣国の言語に変わった。
自然魔法では得意な系統をより深く勉強するために、グループわけがある。
イチイの場合無詠唱で良ければどの系統も不得意ではない。
ミレイユに頼み、一番人数の少ないグループに入れてもらった。
魔法の種類が一番少ないとされている地系統であった。得意な人間も華やかさがないので避けるらしい。
友達は皆バラバラだ。
週に一度グループ授業、他は今まで通りのクラス単位の授業だ。
少しずつバランスが変わるらしい。
2年生になると割と本格的で、校外実習も頻繁に組み込まれている。
確かに実践も組み込まないと成長も遅いだろう。
研究者なら良いかもしれないが、中には魔法騎士団になる者も多くいる。
実践でないと本当の威力、命中力も中々育たない。
最初の校外実習は月末テストに組み込まれており、演習用の森で演習コースを歩く。
勿論モンスターは本物なので、戦闘も本当に行う。
1回目はクラス内で少人数のグループということで、組み合わせはまだ発表されていない。
好きに組めるのか教師が組むのかそれすら未定。
魔法だけでなく個人の武器の使用も可能なので全く問題なしである。
1回目ということもあり難易度は大分易しいようだ。
モンスターはスライムレベルらしい。
さて、肝心の自販機の方はというと。
朝の時点で教師の説明があったため、好奇心で買う生徒がちらほら見られた。
新しい魔道具の菓子販売機とあって、教師と魔道具選択の上級生は特に興味をもっているようだ。
常温より少々冷たく冷やされた菓子、熱い茶まで同じ自販機で買えるシステム。
茶葉は2種類、温度も熱いもの冷たいものと選択でき、出来るだけ菓子に合うものを用意した。
そのため熱魔法や水魔法も組み込み直し、かなり複雑なことになってしまった。
味の方の評判も上々。
特にシフォンケーキとダッコワーズは一般に流通していない菓子なので、評判になった。
味や種類を頻繁に変えるので飽きも来ず、リピーターも多い。
この調子でいけば金貨もありえるかもしれない。
中には菓子の製造販売店はどこだという問い合わせも来ているようだ。
菓子職人冥利に尽きるというものだ。
卒業後完全に借金が終わり資本金が貯まれば、店舗を出すのも悪くない。
それならば今のうちからせいぜいヒツジ商会の名前を売っておこう。