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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第三章
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ある一日

紙に写した魔方陣を、レンに見せた。


「転移の魔方陣に似ている」


「本当!?」


やはりこの魔方陣が元の世界に帰る路になりそうだ。


「だが・・・うん、少し違うな」


「少し違う?」


「あぁ、右上と左上の外周部分が若干な。僕もそんなに詳しくないからな・・・」


魔方陣の授業の担当教諭に質問に行ったがよくわからず、図書室で調べてみることにした。

だがしかし、魔方陣辞典を見ても載っておらず、結局分かったのは移転魔法の一種、ということだけだった。




「手詰まり、だ」


それでも移転魔法だろうとわかっただけでも収穫だ。

魔方陣の研究をして、いずれ帰る方法を発見したい。

2年になれば魔方陣の授業を選択して、基礎を学ぶ。

それから独学で研究していこう。もし学者の弟子や専門施設があるならそちらに行ってみても良い。






補助魔法の授業は中々有意義だ。

呪文は相変わらずなのだが、初めて聞く補助呪文が楽しい。

ケイトに薦められた本の魔法も合わせて、組み合わせを考えるのが楽しい。

ノートには遊びに使えそうな魔法の組み合わせの羅列。

こんなノート、提出できない。

この学校はノートを取るか取らないかは自由だし、提出もないので関係ないのだが。

そんなわけでイチイのノートは半ば落書き帳である。


補助魔法のうち、今までよく使っていたのは固定魔法・浮遊魔法なのだが、空間魔法も面白そうだ。覚えれば四次元ポケットもつくれそうだし、秘密基地を作ることも出来そうだ。

魔力は∞なので問題ないが、精度の面では自信がないので要練習。

補助魔法の中で空間魔法が一番細かいらしい。

技術的なものは苦手な部類で、レンの方が遙かに優れている。




「ただいまー」

「おかえり」

「珍しい、早いね、レン」


レンは非常勤とはいえ教職についているので、生徒であるイチイより帰りが早いことはあまりない。


「魔方陣、どうだった?」

「わかんなかったよ。クロケッタ教諭も移転魔法の一種だろうってさ」

「そうか」

「気長に調べる」


レンには異世界だとは言っていない。

ただ出身地は遠い世界だとしか言ってないので、気付いているかもしれないし、気付いてないかもしれない。


「今日の夕飯何にしようかなー」

「シチューが食べたい」

「はーい」


鶏肉・じゃがいも・にんじん・玉ねぎを刻み、鍋で順に炒めていく。

炒めたら水を入れ、ローリエを加える。家ではブイヨンを入れてたけど、この世界にはないので割愛。

野菜が柔らかくなるまで待つ。

この間にサラダとバケットの準備。今日はこけもものジャムを添えよう。

それから鍋にお手製のルーとミルクを入れて煮詰め、完成。


「できたよー」


「「いただきます」」


元の世界に帰ったら、こうしてレンとごはんを食べることもなくなってしまうのだ。

レンとも、他の皆とも。決して数多い友達ではないけれど、皆大事な友達だ。

でも、それでも。

イチイは帰る方法を探し続ける。



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