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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第三章
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夏期休暇突入

2回目の月末テストも3回目の月末テストも、自然魔法実技以外好成績を叩き出した。

総合点数はどちらも550と、イチイの中では満点である。

自然魔法が無詠唱可になれば600も目指せる。

無詠唱は3年からなのでまだまだである。


薬学は任意の選択課目なので、テストはない。

卒業時、それぞれの就職推薦の時には活きるそうだ。



そしていよいよ夏期休暇である。

2ヶ月あるのでクエストでコイン稼ぎと、ニトロプリアとロハに行く予定を立てていた。

気が早いが冬はホルンを訪れる予定だ。


カインとロニがトマの迎えに来るというので、イチイはそれに便乗させてもらった。

そろそろ自分の馬は欲しいが、レンへの借金もあるので我慢する。

現在金貨は90枚と少し。

あと210枚は、なかなか遠い。

いつでも良いと言われているものの、早く返して楽になりたいのだ。

大物を狙うか、何か商売をするか。

商売をするにしても資本金がかかるので難しいだろう。


「イチイ、学校生活はどうだ?友達は出来たか?」


ロニが兄貴みたいだ。

トマは実家に定期的に手紙を送っているので割と何でも知っているようだ。


「出来たよ。クラスの女子が3人と、先輩1人と、トマの友達のミカ様」


5人とは少ないが、入学当初を考えると上々だ。

給食はヘレンたちと一緒で、その後は一人で昼寝してるとたまにケイトが来る。

放課後はヘレンたちとカフェや買い物に行くこともあるし、トマとミカ様と勉強することもある。

ミカ様は勤勉家だ。


休日はあまり友達と遊ぶことはない。

近場のクエストに挑戦するか、レンと一緒だ。

ランクが高くなると報酬も上がるので助かっている。


「先輩?男?女?」

「男。先輩だけど年は一緒なんだ」

「ジークフリード侯爵子息なんだって」

「ジークフリード侯爵!?」


そんなに驚かれるくらいの人なのか。

イチイは貴族に疎いし、レンもそんな話はしないのでよくわからない。

ケイトとヘレン達から少し聞くくらいだ。


「ケイト様、一匹オオカミらしいから、友達って珍しいんだって」


一匹オオカミって泣き黒子がお揃いってだけで声をかけるものだろうか。


「うまくいけばすごい玉の輿だねー」


いやいやいや。


「・・・侯爵家に嫁ぐのには貴族じゃないとさすがに」

「愛妾とか」

「・・・・・」


貴族は一夫多妻容認らしい。

しかしトマの口から愛妾だなんて、複雑な気分だ。

元の世界だと中学生が愛人になれば良い、って言ってるってことだ。





「・・・愛妾になるくらいなら、その、ニトロプリア家に嫁げば良いんじゃないか」


「ニトロプリア家に?っていうか私、どこにも嫁ぎませんよ」


結婚なんてしてしまえば元の世界に戻れない。

イチイはいずれ帰るのだから、結婚なんて出来ない。

向こうの世界に一緒に帰るのなら話は別だが。


「えーいいじゃん!イチイがうちの家に嫁に来たら本当に家族だし!きっと楽しいよ!」


確かにトマと家族というのは楽しいと思うが、誰と結婚させる気だ。


「おれの4個上の兄上が良いと思うよ」

「ぶはっ」


トマの発言にロニが噴いた。

その4個上の兄上とやらは噴くような人物なのか。

三男のロナウド氏には未だあったこともなく、話も聞かないのでどんな人物かも知らないのである。


「どんな人なんですか?」


「自由人」


今まで会話に入ってこなかったカインがぼそりと呟いた。


「自由すぎて、困る」


カインは代々ニトロプリア家で従者をしているので、必然的に兄弟すべて幼馴染のようなものだ。


「6歳の頃、剣ひとつ持って森へ行き捜索隊が出された。勉強が嫌で3階から飛び降りた。厨房に盗み食いに行くのはしょっちゅう。ちょっと買い物にって従者も付けずにふらりと出て行って一月帰らないこともたびたび。・・・伯爵様一家は皆様諦めてらっしゃる」


カインがぶちぶちと繰り返す。

珍しいもの見たという風にトマが注視している。

ロニは俯いて震えている。










「1番の問題は従者の振りをし続けて未だにイチイに打ち明けてないことだ」











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