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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第三章
38/154

36

テストのあった翌週、上位者が張り出された。

人だかりが出来ていたので、とりあえず後回し、と教室に向かう。

片隅の席でいつものように大人しくしていると、何故か視線が集中する。

何?


視線を追いかけると目を反らされる。

え、なにこれ。いじめ?

受けて立つけど。



クラスのリーダー格っぽい女子が怖い顔してこちらにやってくる。

マジでいじめか。決闘か?


「ちょっとアンタ、どういうこと!?」

「はい?」


お嬢さん、主語をお願いします。


「総合点数、549点よ!?ありえない!!」


549点。

まさかそこまで取れるとは思ってなかったけど、不可能って程ではないような。


「何故、ありえない?」

「だってアンタ、自然魔法補習でしょうが!!」

「まぁ・・・」


やはり補習で50点も貰ってしまったことが悪かったのか。

しかし今更どうしようもないんだが。


「補習でたまたまうまくいって、50点もらえたんだ」


そもそも自然魔法の実技は減点方式である。

ほとんどの生徒が高得点をもらっている筈だ。

その中で50点はそんなに目立たないと思う。


「50点・・・高いわね・・・」

そういう女子生徒は100点らしいが。

自然魔法実技に関しては100点がごろごろいる。


「それにしても!おかしいじゃない!!」


大声を出すからクラス中の注目を浴びている。


「その計算だとアンタ、他の教科ほとんど100点じゃない!!」


「そうだけど?」


それが何かおかしいのだろうか。

中学の最初の中間テスト、高得点500点に近い生徒は半数を占めていた。

最初のテストなんてそんなものだと思う。



「アンタ、もしかして成績表、見てない?」


「見てないよ。人が多すぎて」


「アンタ、1位なのよ」


「は・・・」


1位。

いまちょっとイチイが1位って思った。オヤジギャグに分類されるんだろうか、とちょっと現実逃避をしてみる。



「マジ、で?」


騙されていたら嫌なので成績表を見に行く。

確かに、1位だった。

2位のミカルエレファンデ・フィオ・リオレサーエルくんは548点だったので僅差ではあるが。


「1位・・・」


素直に嬉しい。


内容がどうであれ、クラスの女子との初会話も実は嬉しい。



「アンタ、自然魔法以外は優秀なのね」

「そうみたいだね。これは、嬉しい」


自然に笑顔になるってものだ。


「アンタ、笑えるのね」

「はい?」

「アンタいつも無表情だもの。黒髪だし作りものみたいだったわ」

「はぁ・・・あ。アンタじゃなくて、イチイ。イチイ・ディ・プリアレストっていうんだけど」

「知ってるわよ、有名人!成績表も見たんだから知ってるに決まってるでしょ、イチイ!」


キタ、名前呼び――!!


「私の名前は知らないでしょ。ヘレンよ。ヘレン・アルフレシア」


どうやら「ディ」はついていないらしい。


「子爵の家だからCクラスなのよ」



「いつも一緒にいるブロンドがカトレア、ブルネットがメグよ」



「まぁいいわ。今日一緒にお昼しない?」



入学から一月以上たって、やっと、女子の友達ゲットかもしれない。

















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