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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第三章
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学校生活

一週間もすると生活リズムも整った。

ただしクラス内に友達は一人も出来ていない。


落ちこぼれの噂はすぐに校内に浸透した。

事情を知るレンとトマは心配してくれたが、事実なので仕方がない。

一度昼寝をしていて寝過して、自然魔法の授業を休んだことがある。

周りはそれでイチイを落ちこぼれの問題児と見做したようだった。

己のミスなので仕方がないことでもある。


昼休みは昼寝か校内の探索をするので上級生と知り合う機会があった。

イチイと同じで問題児と言われている、赤毛で垂目の少年だ。

イチイと逆側の目の下に泣き黒子があり、それに気付いたケイトがイチイに声をかけたのである。


ケイトとはよく、裏庭の昼寝場所で会う。

イチイがハンモックで昼寝していると、ふらりと現れることがある。

そのまま噂話をイチイの耳にいれていくので、イチイはこの学校の情報に詳しくなってしまった。

自分が落ちこぼれの問題児だと噂されているのを知ったのも彼の情報だ。





「イチイ、今から時間ある?」


放課後、Cクラスにトマがやって来た。

クラスが一瞬ざわめいたが、トマはプリアレスト、イチイの主のだと気づき、すぐに落ち着いた。

貴族は普通自分から従者に会いには来ないので、好奇心を乗せた視線は突き刺さっていたが。


「うん、何かあるの?」

「友達、紹介したいなって思って!」


貴族は貴族で大変なのだ。

爵位に上下があるため、長いものには巻かれろ精神、媚を売るものと純粋な友情は難しい。

そんな中で出来た単なるご学友ではない友達を、トマは紹介したいのだという。

家族にはすぐに紹介出来ないし、トマに一番近いのは親友であるイチイなのだ。


「はは、良いよ。どこに行く?」


貴族に向かってタメ口をきくイチイに一同は目を見張ったが、トマもイチイもそれには気付かず話を進める。


「イチイの家が良いけど、あれだよね。カフェに行く?」

「そうだね、学校前のカフェにしようか。寮にも近いし」


寮生であるトマには門限があるのだ。

そんなに遅くなるつもりはないが、近い方が便利だろう。


2人の遣り取りをクラスメイトたちは茫然と見つめる。

それほどこの世界では貴族と平民の垣根は高い。筈だ。

これによりイチイの評価は極端に分かれた。

常識がなさすぎる、関わるまいとする人間、実は大物なんじゃ、という二手に分かれた。

しかしイチイに接触する気配はなく、結局クラスに友達が出来るのはまだまだ先のようである。





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