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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第二章
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魔法の特訓?

レンは寝起きが悪い。

起きてもしばらくはぼんやりとしているので、イチイはいつも放っておく。

そんなレンが起きてすぐ、開口一番にこう言った。

「さて、そろそろ本格的に魔法を特訓しようか」

特訓って言った。

響き、悪い。



「もう発音は良くならないから諦めよう」

「え!?」

「もう色々飛び越えて無詠唱で良いんじゃない?」

何だか適当だ。

イチイの発音の悪さに痺れを切らしたらしい。申し訳ない。

「要はイメージだよ。ハーブに早く育つよう、祈って、魔力を分け与える感じで」

イチイは鉢植えのハーブを手で包み込み、目を瞑り、祈った。

「ああ、うん、いいんじゃない」

目を開けると。

育っていた。

え、何この簡単な展開は。

「やっぱり発音が悪すぎたんだね。良かったね、初魔法おめでとう。今日の夜はごちそう作ってね。僕ハンバーグ食べたい」

「それただ食べたいだけでしょ!?」

「じゃあ次は水ね、グラスに水を満たしてみて」

「スルーかよ!」

言われるままグラスを包み込み、同じようにイメージする。

「また・・・」

今までの苦労って一体何だったんだろう。

しかし水が出せるとなると荷物が大分軽くなる。素直に嬉しい。

「呪文要らないなら後は自分で出来るでしょ」

「まぁ・・・」

「出て行くのはいつでも良いよ。好きな時に荷物まとめて」

「・・・え?」


そうだった。

イチイは魔法を教えてもらうためにここにいる。

呪文が要らない以上、教えてもらうこともない。


寂しい、と思った。

思ってしまった。


「あーそっかーそうだよね。あ、でも補助魔法教えて貰ってからね!」

「補助魔法もイメージだから、呪文要らないんじゃない?」

「そっか・・・」

レンはあっさりしてる。

1ヶ月くらい一緒に生活してきて、ちょっと家族っぽいなぁって、思っていたのだけれど。

寂しい、な。

一方通行ってツライ。






ひたすら魔法の練習をした。

魔力が尽きるまでやろうと思ったけど、尽きない。

もっと大きな魔法じゃないと尽きないのかな。

それなら龍を出してみようか。

火系魔法は苦手なのかまだ一度も発動していない。

水で龍を出してみよう。

そのまま庭に撒けば水やりになる。


イーシュのように掌を空に向けた。

鍋をふるっていないときのイーシュの遣り方を真似る。

水の龍よ、現れろ。

強く念じる。

掌から龍が生まれる。

大きな龍だ。

そのまま庭の上空へ舞い、霧状に変化し、庭を濡らした。

面白いので風や氷でも龍を作り、一度に何匹もだしてみる。

庭の上空を色んな龍が踊る。

面白い光景だ。

何故火が出ないのか考えてみる。

火を直接触ることがないからだろうか。

火を触るのは怖い。火傷は痛いからだ。

そういう感情のせい?それともイメージがうまく出来てない?

考えてみる。

用途からイメージするっていうのはどうだろう。

蝋燭に、火をつけたい。

種火を出すのではなく、蝋燭に火をつけるのだ。

そうだ、水だって最初はグラスを用意したし。きっとそういうことだ。

「蝋燭に、火を」

ついた。

発音も悪かったけど、イメージの仕方も悪かったのか。

一度つけばあとは簡単だった。

炎の龍は他の龍に追いついて、舞った。



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