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漸く新しい武器のお披露目です。
「・・・・これって」
「包丁」
「ですよねー」
形状は中華包丁をながーくした感じ。片腕分くらいの長さだ。
それが2本。持ってみると軽い。見た目は重そうなのに。
「イチイにぴったり。これで美味しい獣取って来てよ」
「またびみょーな・・・」
「切れ味良いよ」
「そういう問題?」
「両手剣は重さでぶった斬るための武器でしょ。イチイには切れ味が良い武器を速さで斬る方が向いてるよ」
西洋の剣より日本刀ってことだね。
「色々付加価値も付けてみた。まず、固定化かけてるから錆びない。切れ味も悪くならない」
それは良い。錆は敵だ。
「軽量化の魔法掛けてるから軽々操れる」
なるほど、それでか。
「で、魔法を覚えると魔法が通せる」
「魔法が通せるとは?」
「例えば雷の魔法を覚えたら包丁に雷を纏わせることが出来る」
「おお~」
「面白いでしょ?」
「うん!」
雷の他にも炎とか熱とか楽しそうだ。
「まぁそのためには早く魔法覚えないとね」
「ハイ・・・・・」
武器を貰った日の午後、早速一人で練習する。
庭に木材を立たせ、その足をレンに固定化してもらう。
自然魔法以外の補助魔法も便利なので是非覚えたいものだ。
むしろ自然魔法より補助魔法の方が良くないだろうか。発音的に。
ひゅん、と軽快な音を立て包丁が木材を切り刻む。
うん、なかなかの切れ味だ。悪くない。
2本あるということは二刀流を覚えろということだろうか。
難易度高そうだ。
まずは1本から練習しよう。
午後いっぱい振り回し、当てたい場所に、切りたいように切れるようになった。
これが長剣の訓練のおかげなのか料理の慣れのおかげなのかは謎である。
長剣でも微妙だと思っていたのだが、レンの髪と同じ紺色のローブに、包丁2本を背負う姿って。
魔法使いなのか何なのかよくわからない。
魔法使いは杖やロッド、たまーに短剣って感じなのに。
レンはイチイに合わせてロッドを新調し、またもやお古をイチイに回してくれた。
ロッドは魔法が使えないと意味がないのでまだまだ出番はなさそうだ。
魔法使いの愛用するものには魔力や守護が宿るそうで、力ある人のお古はすごーく価値があるそうだ。
レンは腕の良い魔法使いなのでレンのお下がりは売れば高値がつくらしい。
そんなものを2つももらっちゃって良いのだろうか。
「良いよ。イチイは素直に甘えてれば」
ぽん、と頭に手を置かれ、なんとなく気恥ずかしくなる。
「ありがと・・・」
レンの顔をみれば、目を瞠ったあと顔を背けられた。
何故。