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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
蛇足の蛇足
154/154

ハロウィンの依頼




「あ!イチイさん!お届けものですよ!」


「ありがとう。・・・なんだろ」


封書と大きな箱が大量に。

まずは封書を開けてみる。





ハロウィンが近くなってきました。

日付 2011年 10月 30日 (日) 16時 57分 55秒


ヒツジ商会 イチイ様にご依頼します。

大きな 濃い橙色の実が取れました。

この実で何か作ってください。




             行きずりの商人

               





「・・・はい?」


がさごそと箱を開けると、大きく実ったオレンジかぼちゃ。

いや、うん・・・え?

二度見した。


とりあえずイチイは室内に運ぶことにし、軽量化の魔法を掛け移動開始。

いつまでも店先で悩んでいても仕方がない。

この時期の夕方は結構寒いのだ。

しかしあれだ。

ハロウィンが近くなってきた、というよりも明日なんだけど。


さて。

この依頼書には肝心の代金が書かれていない。

仕入れ値=依頼料ってことで良いのだろうか。

不審すぎるけど、これほど立派なかぼちゃは初めて見た。

せっかくだから使いたい。

「よし」

頭の中であれこれ考えつつ、まずは・・・。

「トマー、手伝って!」

人手を確保。


まずはオレンジカボチャに顔を書く。

その通りに彫り抜いてジャック・オ・ランタンを作成。

保存の魔法はやはり便利だ。

一度作ったが、すぐにカビが来てしまったのである。

トマは器用で細かいことが好きなので、楽しそうに彫っている。

イチイはその中身を集め、蒸し焼きにした。

それをペースト状にして、砂糖を加え、煮詰める。

まずはかぼちゃのジャム。

明日は焼きたてのスコーンとかぼちゃのジャムのセットを出そう。

ピューレにはせず、荒く潰し、マヨネーズであえてカボチャのサラダ。

定番のパンプキンパイやカボチャプリン、後は何を作ろうか。

かぼちゃのスフレ、チーズケーキ、ロールケーキ。

かぼちゃ嫌いの人には明日は地獄だな、と苦笑い。

スペシャルメニューはまるごとかぼちゃのチキングラタン。

かぼちゃの頭を切り取って種を抜き、そのまま容器としてグラタンをつめるのだ。


「イチイ、明日楽しみだね!」


楽しそうに笑うトマ。

悪戯っ子の笑顔だ。

急遽一日限定、ヒツジ菓子店はハロウィンフェア開催となった。


お菓子や料理の仕込みは前日の夜遅くまで続き、当日は朝から仕上げや飾りで大忙しである。

食堂や雑貨屋も臨時休業し、菓子店に人手を集めた。


「楽しみだなー!」


もうすぐ開店の時間。

飾りつけはぎりぎり間に合った。

ショーウィンドウにはジャック・オ・ランタンが並び、紙で作ったコウモリやハロウィンの文字を貼り付け。

従業員の制服は魔女やオバケ、ドラキュラなど仮装となる。

ただしこの世界ルード・ミルでは浸透していない服装なため、面白味は半減。

近場の知人・友人には招待状を送った。

遠方だと招待状が届く頃にハロウィン終了となりかねない。


「開店しまーす!」


開店と同時にお客さんが流れ込む。

ビラ配りの効果だね。

注文をもらい、食事やお茶を始めた時、照明を落とした。

もちろん外は明るいので遮光していても薄暗い程度。

トマの魔法でジャック・オ・ランタンが浮かび、光る。

あちらこちらで感嘆の声が上がる。

イチイとトマの目が合い、二人は笑った。


「「HAPPY HALLOWEEN!!」」













「あれ、この世界ハロウィンないよね?」


「うん、ないよー」


「・・・この行きずりの商人って・・・もしかして転生者なのかな・・・」





THE END



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