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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
蛇足の蛇足
153/154

魔法使いのクリスマス

妄想部の活動、隣の世界にトリップから続く蛇足の蛇足です。

未読の方は是非。


http://mypage.syosetu.com/144526/



まず店の壁にサンタやトナカイ、家やツリー、プレゼントといったクリスマスらしいものを描く。

魔法で消すことが出来るので、割と好き放題出来る。

丸くて平べったい、おはじきのような形の魔道具を、線に沿ってペたぺたと貼り付けていく。


この魔道具は、明るいうちに魔力を吸収して、暗くなると光るのだ。

おはじきもどきに一個ずつ魔方陣を描き、常時点灯型と点滅型の2種類を作った。

勿論着色もしてる。

赤・黄・青・橙・緑・紫・桃・緑とカラフルだ。




「ねぇいっちー」


「うん、いっちーはやめようか」




間髪入れずに言ったイチイに、トマがこっそりぷくく、と笑う。

そこ、笑わない。



「この魔道具さぁ、名前何にするー?」



3人で徹夜して作ったこの魔道具。

そういえば名前なんて考えてなかった。


イルミネーション。電飾。チカチカ。ライトアップ。ルミナリエ。

いやルミナリエは駄目だろう。

世界は違うから駄目ではない気もするが。



「んー・・・魔玩具部門だし、トマの好きな名前で良いよ」


「じゃあ考えとくー」


店のディスプレイに使用する他、試験的に魔玩具として販売することにしたのだ。

値段も高いわけではないが安くもないので、そんなに売上は伸びないだろう。



同じ色を5個セットにして販売。

色や数を揃えれば色々描けて面白いと思う。

ただこの世界ルード・ミルではルミネーションなどないので、どこまで受け入れられるかわからない。




「よし、完成」


店内とディスプレイショーケースが一気にクリスマスらしくなった。

ただしイチイの知る日本のクリスマスだ。

クリスマスのないこの世界では。サンタクロースなんかただのおじいさんにしか見えないだろうな。


「夜が楽しみだねー」


トマが楽しそうに笑う。


「家の庭にも描こうかな」


「いいね、それ」


トマの提案に賛成する。

自宅でやっていれば、それを真似する人も出てくるだろう。

町中がにぎやかになれば面白い。


貼れる場所は壁だけではない。

魔法で固定されるようになっているので、植物にだって、生物にだって貼り付けることが出来る。

夜中にウォーキングしている人がよくつけている、安全帯にもなる。

まぁ必要ないけど。

日本でなら似たものをよく見掛ける。

ライブ会場、祭り、階段、自転車、ペットの首輪。

応用はきくが果たしてこの世界でそれが必要かどうか。






夜になり、店がにぎやかに光る。

量が多すぎて目がチカチカするような気もするが、トマは楽しそうだ。

レンも魔道具の完成を見て、安堵している。

お客さんの反応も上々だ。

物珍しさからか楽しんでくれている。

魔玩具もひとつ売れた。

少しずつ売れる良い。


「明日家の庭ぺたぺたしよーっと」


「じゃあ私は雑貨屋と食堂の方に貼り付けようかな」


2人がああでもない、こうでもないとアイデアを話し合う。

その様子を見てレンは微笑みを浮かべる。

魔玩具の開発は主に2人の遊び心から生まれる。

この光の魔道具も、色々と進化していくことだろう。


翌日2人はそれぞれの芸術を作り上げた。

その作品を見た他の商店が、模倣を始めるまであと3日。

謀ったかのようにクリスマスイブだった。








そして毎年、この時期のイスフェリア城下町は光に溢れ、新たな観光地として発展するのであった。

だがそれは数年後の、今はまだ誰も知らない話。










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