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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第七章
139/154

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ミカの提出したレポートが認められ、研究所でも研究が進められることになった。

こちらは無属性魔石ほど価値を買われず金銭的にはあまり収入にならなかったが。

後は電話もどきである。

あれからさらに試作品を作った。

記録用魔方陣から”声”に関わる部分を抽出し転用してみたのである。

転移用の魔方陣も合わせたものをいくつか作り、稼働させてみた。

結果、電話もどきは完成。

レポートの作成も進めている。

ただ転移の魔方陣と同じく相手先が一ヶ所になるため、一般に普及というレベルまでは至らない。

今はトマの寮部屋とイスフェリアの店3ヶ所、ニトロプリアの店、トマの実家、スーの実家(?)に実験を兼ねて設置してある。

呼び出し音があるわけではないので、魔方陣の近くにいないと声が届くことに気付けないのが難点だ。

距離が変ると魔方陣が使えなくなるので携帯も不可能。

しかし城や騎士団の詰め所、ギルドなどに設置すれば急なトラブルも今より迅速に動けるようになるだろう。今のところ4カ国はモンスターを除けば平和そのものなので、あまり必要はないかもしれないが。





「なんだろうね、この作為を感じるトーナメント表」


「まぁ、明らかだよね」


模擬戦のトーナメント表の最後尾に、イチイの名前。

一番最初にオースティンの名前。

勝ち進めば決勝戦がイチイとオースティンになるのである。



「剣術大会2回連続のオースティンと、模擬戦前年度優勝のイチイ。やっぱり先生たちも決勝戦盛り上げたいんじゃない?」


「・・・わかるけど、わかりたくない」


「魔法騎士団とか研究所とか色々来るしね。去年ほど戦闘力のある人いないし、少しでも見栄張りたいんじゃない?」


身も蓋もないな。

確かに今年はオースティンしか魔法騎士団に入団しそうな人間はいない。残りの成績上位者は研究職を希望している。

他の戦闘向きの魔法使いは爵位を継ぐ人間が多いのだ。



「あ、ブラックマンとは・・・当たらないないね」


「あ~・・・オースティンが勝つって決定事項?」


「おれはオースティンが勝つと思ってるもん」


「いや、まぁ・・・」


「まぁ優勝はイチイだと思うけど!」


「最後だしね、頑張るよ」


「あの人たちも来てるしねー」


「・・・ソウダネ」


オウザイアス・モーズィズ・リフレクトとダイ・ベイカー・ディ・ブラックマンである。

噂をすればなんとやら、だ。



「よー!」


「どうも・・・」


「こんにちは、イチイ。調子はどうだい?」


「まぁ・・・」


正直なところ、イチイはこの男が苦手である。

気障っぽいというかナルっぽいというか・・・。


「へ、こいつに言い寄られて浮かれない女って珍しいな」


「失礼な、言い寄ってるだなんて下品な言い方は止してください」


言葉はどうでもいい、とりあえずやめてほしい。


「ま、去年俺を瞬殺したんだ、かるーく優勝してくれよ」


「そして卒業後は是非私の元へ」


手を取るな。キスするな。近い近い!


「いやいきませんよ」


一歩引く。


「フフ・・・今はそう言っていても、卒業後にはきっと」


と一歩近づいてくる。


「いやいやいや」


また一歩引く。


「・・・こいつは気にすんな、優勝して来いや」


ダイ・ベイカーが押さえてくれたのでその隙にトマの隣まで下がる。


「・・・善処します」



そして何故トマ、笑っている。

助けてくれよ。









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