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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第七章
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そんなわけでヒツジ食堂、オープンです。


ニトロプリアから戻って来た料理人1人・給仕1人をメインに、数人程雇い入れた。

料理の勉強がしたいという若い男の子や、ベテラン主婦の昼だけ労働。所謂パートさん。

給仕も1人じゃ足りないからこちらも募集した。

同時に菓子製造の見習としても数人の雇用。

こちらはスーと気が合うかどうかに重点を置いた。

全体的な仕入れに関してはロニが引き継いでくれた。

ロニはロニの仕事があるので、これはいずれ他の人に引き継がなくてはならない。


オープン初日、死んだ。

元々菓子店で名前が売れていたこと、ニトロプリアで店を利用したことがある人など、忙しかったのである。

オープンから日がたつにつれ忙しくなるんじゃなかったのか。

講習会をした他の菓子店の従業員なども来てくれて嬉しかったけど。


夜は各家庭で食べることの方が多いのか、立地なのか、昼の方が忙しい。

アルコールを置いていないからかもしれない。

夜は居酒屋の方が繁盛する。

アルコールを置くかどうかも検討する必要がありそうだ。


「おつかれさま!」


そんなわけで打ち上げである。

今回は明日もあるのでアルコールなし、何も心配ない。

メニューに加えることの出来そうなメニューの試食会も兼ねている。

チキンカツやロースカツ、チキン南蛮やコロッケ、メンチカツ、そぼろなど。

丼やパンに合いそうな、それでいてイスフェリアでは珍しいものを中心に。

リリスフィアから仕入れているソース類、大活躍である。

麺類は主にラーメンである。

イチイの思いつく限りのスープを用意してある。

麺はどのスープでも同じものを使うため、仕込みが比較的容易い。

醤油、味噌、塩、豚骨、味噌豚骨、醤油豚骨、塩豚骨。

塩と醤油は魚介系か鶏がらかでまた味が違う。

イスフェリアは魚介系塩文化のようである。


デザートは練習を兼ねてスーが用意。

オレンジとチョコの2層のムースと栗入りのブラウニー、スクエア型のデコレーションケーキ。

最近スーは何でも作る。

新しいオーブンになってから、特に焼き菓子を練習しているようだ。


「これ、おいしい!」


「コロッケか。やっぱりソース味が良いのかな」


スーにとってはソース類は故郷の味。馴染みある味が一番美味しく感じると思う。


「おれはこれが一番好き」


「魚介系塩か。ニトロプリアにもあったもんね」


ラーメンではなくパスタに近い麺だったが、ベースは同じである。

イスフェリアにはトマト味が一番多い。

トマト味も好きだけど、やはり醤油味が一番美味しいと感じる。


「ヒツジ商会で革命が起きるよね」


「革命?」


「うん。お菓子も、ごはんもさ。魔道具もいっぱい作ったし。すごいことだよね」


「そうだね・・・」


「転移の魔方陣が一番でかいと思うけど、乳製品とか衣類とか。他国のものが気軽に手に入るようになって、どんどん発展していく。貴族しか使えなかったものが、平民の間にも普及する」


「うん」


「おれ、ヒツジ商会をもっと大きくするよ」


「うん?」


「10年後でも、20年後でも。イチイがいつか帰って来たときに、吃驚するくらい、大きくする。あれここ本当にイスフェリア?っていうくらい、発展させてみせるから」


「・・・トマ?」


「だから、ずっと、待ってるから。おじいさんになっても、待ってるから。だからきっと、帰って来てね」


「トマ・・・」


「イチイはおれのしんゆーだもん。何でも出来るはずだから!」


「えー・・・」


「老後は温泉つかって縁側でお茶を飲むんだよ」


「どこでそんな言葉覚えて来た・・・」


「へへ、腰に手を当ててコーヒー牛乳一気飲みもしようね」


え、本当にどこ情報なの、それ。


「とにかく、待ってるからね。楽しい年金生活だよ」


いやイスフェリアに年金制度はないからね。













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