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ただいま城下町に新店舗の食堂を出すべく奮闘中。
広場に近い位置に中古の店舗を購入。現在改装中である。
現在料理長候補と給仕係がニトロプリアの店で修業中だ。
半月程で戻って来るので、微調整、そしてオープンとなる。
昼食と夕食のみを狙い、日替わりのみを数種類、売り切れゴメンの食堂にする予定だ。
客層は貴族ではなく平民で、毎日でも食べられる価格設定にしたい。
イチイはそのメニュー作り、レシピ化。何故か隣にはケイトがいて試食中。
スーはイチイがいなくてもすべて仕込みが出来るように練習中。
オーブンはトマが仕上げてくれたので、出来る菓子も多くなった。
トマは相変わらずおもちゃの開発と今は自分用に空を飛ぶための補助道具を開発中。
ミカは店番の合間に精霊語化とレポートを進めている。
レンが仕事の傍ら、人事や経理関係の事務仕事を引き継いでくれた。
来年には魔法学校との契約が切れるため、研究職だけになるので時間が取れるそうだ。
雑貨店の方もぼちぼち。
トゥレの協力があり、下着や衣服が少しずつ貴族間に浸透してきた。
ヘレンたちも学校で着衣してくれているため、口コミで売上が伸びている。
スー以外にも仕込みの出来る人が欲しいので、新たに募集する予定だ。
国菓子であるマカロン普及のため、城下町にある他の菓子店に何故か講師にいくことにもなっている。
そのついでに、乳製品を使った菓子の価格低下についての話し合いがある。
乳製品の流通が以前に比べ、安価で多くなっているためだ。
転移の魔法陣の普及に伴い、転移の魔方陣からの配達業が活発になっているようだ。
乳製品の消費量も多くなり、牧場や乳製品の製造に人手が足りなくなっている。
護衛などの職が減った分、そういうところで職が増えている。
「これはどう?」
「うん、美味しい。いいんじゃないかな、麺と米とパンで3種類」
日替わり昼食として、3種類、麺と米とパンでいこうかと思っている。
麺はラーメンやうどんがメインで、追加でオニギリや焼き米をつける。
米は和風の定食か丼をイメージ。その日の仕入れによってメニューが変わる。
パンはボリュームのあるサンドイッチ。
それにサラダとスープがつく。
夜も似たような感じで3種類。
昼の日替わりが残ればそれをアレンジして使う予定だ。
「じゃあレシピ化はこれくらいかな」
「お菓子のレシピも進んでる?」
「あと半分くらいかな」
菓子のレシピ化も同時に進めている。
これはスーにプレゼントするもので、記憶にあるものすべてを書き記している。
ただイスフェリア言語なので、ミカに頼んで翻訳してもらう必要がある。
・・・翻訳機、作ってくれないだろうか。
ヒツジ商会はすごく順調だ。
赤字の店・自販機は一つもない。
時間もないし、店はこれ以上増やす気はないが、増やせば増やすだけ儲かる気がする。
まぁそれはイチイがいなくなった後なので、全面的にトマに任せるのだが。
全体的な経営と魔道具部門はトマに引き継ぐ。
ミカも家督を継ぐ長男の補佐をしつつ、研究者しつつという多忙な身なのに、手伝ってくれるという。
そして何故か入り浸っているキティは、トマの補佐や菓子店の手伝いをしてくれている。
すごく、恵まれている。
「よし、イチイ。レポートは3つ完成した。提出しておくぞ」
「ありがとうございます」
空を飛ぶ魔法と意思疎通の魔法、オーブン魔道具のレポートである。
流石ミカは優秀だ。精霊語の研究でその筋では有名らしい。
精霊語はイチイにとって鬼門なのでよくは知らないが。
新魔法の開発はあまりお金にならない。
代わりに名前が売れる。
正直ヒツジ商会の資金にならないので意味はないのだが、ミカやトマは貴族だし、名前は売れている方が良いだろう。
特にミカは家の期待もあるだろうし。
トマの家はなんというか・・・変わった家なので。
後は電話もどきでイチイの目標は終了する。
あと2ヶ月ちょっと。
時間はあまり残されていない。