131 ニトロプリア
早いもので、もう冬期休暇である。
今回は冬期休暇を利用して、ニトロプリア領の草原を改造することになった。
トマ、大張切りである。
「さあ!やるぞー!!」
わーちょーたのしそー・・・この寒いのに。
子供は風の子を地でいくトマである。
イチイは熱魔法を利用して暖を取りつつ、のろのろと移動した。
炬燵が恋しい季節です。
トマが計画書を広げ、説明を始める。
流石にトマとイチイだけでは時間が掛かるため、働き手を募ってある。
草原内のフリースペースを確保しつつも、アスレチック的なものを設置、休憩の出来る場所も作ろうということだ。
アスレチックは基本的に魔法を使わない。
魔法を使うのは補助的な役割を果たす部分だけだ。
因みにトマのお気に入りはターザンごっこの出来るロープである。
本当は魔法をメインで使う乗り物なども置きたいが、そうなると草原に随時人を置くことになるので今回は見送り。
休憩所は屋根付き、寝転ぶことも出来るし、食事用にテーブルも設置。
自販機も置いて軽食を取り扱う。
草スキーの貸出も無料。返却しなければ草原から出られない魔法付き。注意書きもしてある。
イスフェリア国内にこういった施設はないので、新しい試みである。
元々草原の開放自体も珍しかったのだが。
モンスター除けの魔道具は高価なのでこういう施設を作る貴族も早々いないのである。
親馬鹿な伯爵ならでは、である。
「イチイ、オヤツスペース作ろう!!」
「・・・オヤツスペース?」
「果物の木を植える!食べ放題!!」
「まぁ、いいけど・・・」
自販機の売上は下がりそうだが、まぁそれも良し。
ニトロプリア領は治安が良く、浮浪者などがいないため出来ることだ。
そうじゃなかったら住み着かれる。
「後は何作るの?」
「長い滑り台!!これは魔法使わないから雇った人たちまかせ。イチイはバーベキュースペースつくって!!」
「バーベキュースペースとは?」
「バーベキューするところ!!」
「それはわかる。詳細求む」
魔法を使った、バーベキューコンロ、らしい。
移動出来ないように固定。
急すぎて火傷防止は無理なので、注意書きを忘れない。
鉄板バージョンと網バージョンを2台ずつ設置した。
「これでお昼にバーベキューが食べられるね!」
材料は持ち込みになるが、確かにこれは楽しそうである。
魔方陣の稼働は周囲から吸収型。
起動スイッチは生命活動のない有機物を乗せること。
なので使用中でなければ人が触っても熱くない。
が、一発目が活きた魚だったりすると稼働しないという弊害もあり。
まぁ活きたままのもの持ってくるひとは少ないと思うが。
こうして滑り台以外の設備は整い、草原は新たな娯楽施設となったのである。
因みに賄いは鉄板を利用してお好み焼きになりました。