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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第七章
131/154

129

「はぁ・・・」



めんどい。

すごくめんどい。

イチイは手にした薄茶の用紙に目を落とす。

そこには果し状の文字。


果し状なんて初めて貰ったな。


指定された場所、昼寝場所に割と近い中庭の端の方。

そこにはまだ誰も来ていない。


「ブラックマン?」


今日の放課後とは書いてあったものの、時間指定はなく、とりあえず授業が終わりすぐに来てみた。

遅れると煩そうだからというのがその理由。


しかし何故このタイミングで果し状。

恥かかせた後とか卒業前とかならわかるんだが。

それとも夏期休暇で修業してきたとかそういうことだろうか。


木の上で昼寝でもして待っていよう。







「来てないのか・・・?」


ブラックマン到着。1人だけのようだ。腰巾着はどうした。

木の上からばさりと降りると必要以上に吃驚しているブラックマン。

美味しい奴め。


「何?」


「そ、そんなところから現れるな!!」


「・・・そんなビビらなくても」


「ビビってない!!」


「・・・そんなムキにならなくても」


「なってない!!」


誰がどう見てもなってるから。


「それで?」


「それでとは?」


「・・・いや、果し状の動機っていうか」


「あ」


忘れてたのか。

今このやりとりだけで?


「成り上がりが気に食わない?」


「それもある!」


「自分より成績良いから?」


「・・・それもある」


こいつ認めた!

潔いけど阿呆だ!

僻みって認めた!


「不敬だから?」


「それもある」


「まだあんの?」


「・・・それは、まぁ、いい、とにかく、決闘だ」


歯切れが悪い。

何を隠してるのだろうか。


「それって私のメリットは?」


「は?」


「だからこの決闘、私は何の得になるのかな?仕事休んでまで来てるんだけど」


「それは・・・」


「私が勝ったらもう関わらないっていう条件が飲めるなら良いけど」


「わかった。そのかわり俺が勝ったら、ヘレンは渡してもらおう!!」


「・・・・・はい?」








「要するに。自分が振られた原因が私にあると?」


「・・・そうだ」


ただいまブラックマン正座中。

イラっときたので鳩尾に一発、そのまま緑魔法で縛って正座。

人を妄想で巻き込みやがって反省しろ。


「んなわけあるか。自分が嫌われてるのを人の所為にしないでくれるかな」


まぁ全く原因がないとは言わないけど・・・9割はイチイではない。筈だ。


「侯爵家の跡取りなんだから振られるに決まってると思うんだけど」


「何故だ!?侯爵家だぞ、普通女なら喜ぶだろう!!現に入学前はヘレンだって・・・!」


実はヘレンとブラックマン、幼馴染だったらしい。

入学前はまぁ子供の口約束だが”大きくなったら結婚しようね”とか何とか。

が入学してからは躱される。

夏期休暇にプロポーズの書状を送ったが完全に断られる。

そして逆恨み。


「ヘレン一人娘だから入り婿希望でしょう」


「男爵家くらい、別に・・・」


「・・・ヘレンはブラックマンのそういうとこ、嫌いなんだと思うけど」


「!?」


「ヘレンは実力主義なとこあるから、成り上がりを馬鹿にするところとか無駄に威張り散らかすところも嫌いだと思うよ」


「~ッ」


あ、撃沈した。


「男兄弟他にもいるんでしょう。侯爵家捨ててまでヘレンのことが好きっていうなら希望はあると思うけど」


「本当か!?」


「まぁ、これからのブラックマン次第だとは思うけど・・・」


あ、しまった。

何か無駄にキラキラした目で見られてるような・・・気が・・・。






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