128 イスフェリア城下町
さて、夏期休暇明け恒例の、お土産交換である。
「「「かわいい!!」」」
「良かった。これならローブの上からつけられると思って」
「ありがとう、イチイ」
イチイもそれぞれに貰ったお土産を試着してみたり、女子っぽい空間が広がる。
学校内のあちらこちらで見られる光景だ。
このクラスでは貴族の女子がそう多くないのであまり見られないが。
同行していたスーとケイト以外にお土産を渡す。
マーサとキティにはアロマキャンドルを、トマとミカにはハーブフレーバーのカカオ。
他男子には甘さ控え目なミントキャンディだ。
貴族にキャンディは微妙かな、と思ったけど、レンもお勧めの味だったのでこれに決定。
逆にイチイも色々とお土産を貰った。
夏期休暇最後の日、記録用魔方陣の改良に成功。
魔方陣を先に描き、後から声を記録出来るようにした。
ただ魔方陣を描いてすぐでないと記録出来ないのでまだまだ改良が必要。
最終目標は魔力のない人でもリアルタイムで会話、なのだから。
飛行魔法も、少しずつ進化している。
自身に掛かる重力を軽減、浮遊魔法、風魔法でコントロールで、かなりのスローペースではあるがふよふよと空中散歩が出来るようになった。
目下の目標はスピード・コントロールの改良。
他から風魔法が来ても飛ばされる可能性があるので、防御魔法が必要かもしれない。
そこまで行けばあとは精霊語化すれば完成。
この作業はイチイにとって鬼門なので、ミカに頼む必要がある。
呪文が唱えられないイチイでは発動するかどうか確認できないためだ。
各国の名産品輸入販売ということで、中古の店舗を購入。
ヒツジ菓子店の斜め向かいである。
各国のアクセサリー類をメインに取り揃えた。
ガラス細工やサシェ、石鹸、アロマオイルなどの小物も取り揃え、所謂雑貨屋さんを開業。
販売は新しく雇った元冒険者の若い女性だ。
何かあれば魔方陣で紙を送り連絡を取ることになっている。
トゥレと相談しつつ、リリスフィアの下着と衣類も取り扱う。
衣類・雑貨は1階、下着は2階と区別。
いきなり異国の衣類を受け入れるのは難しいだろうとうことで、まずは小物。
貴族の子女のドレスに合いそうなシューズ・帽子・防寒具などから取り入れる。
そして徐々にワンピースを簡易ドレスとして浸透させていく。
魔法学校の生徒をターゲットにローブに合う動き易いワンピースやスカートも取り扱う。
素足見せは基本タブーなので、カラータイツやハイソックスもバリエーションを展開。
それに合わせ動き易いシューズ。
ブーツが主流なのでリリスフィアのフラットシューズは新鮮かもしれない。
これには事情を説明してヘレンたちにも協力してもらっている。
目立つ容姿の女子が見知らぬかわいいものを身に付けていれば、気にならないわけがない。
イチイ自身ももう少し寒くなればブーツをショートにし、ズボンとの間からレッグウォーマーが見えるようにする予定だ。
他国との交易は、国の活性化に繋がる。
特に4カ国内の交流は、どの国にとっても良いことである。
トゥレもフォードも、勿論各国国王も賛同していることだ。
転移の魔方陣の研究も進み、公共機関では取り入れられているので活性化も時間の問題だと思う。
イチイ自身がこの世界からいなくなっても、きっとどんどん変わって行く。