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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第一章
13/154

11

ニトロプリアに到着して3日目。宿に銀貨を一枚追加で支払って、道具屋に向かった。

魔法に関する本を探してみようと思ったのだ。

軽く読んでみると昨日イーシュに教えてもらったこと、魔法学校に関する記述が少ししか書かれていなかった。

魔法学校は10代であれば何歳からでも入学でき、4年間通う。

イスフェリア王国城下町に学校はあり、希望者には寮がある。

学費は一年間で約金貨100枚。4年間で金貨400枚。諸費用は他にも色々かかるし、生活費も考えるとさらに金貨が必要だ。

イチイの所持金は現在金貨換算すると12枚程。この調子で稼げるならどうにかなるかもしれないが、今これだけ金貨があるのはあの上級モンスターの素材のおかげであって、奇跡の賜物。イレギュラー。

昨日見たクエストの報酬は銀貨1枚程度ばかりだった。400×50って・・・そんなにクエストを受けるのは物理的に不可能なのでは。

ギルドランクが上がれば報酬も増えるが、今のイチイではそれも難しいだろう。


昼、塩パスタ(仮)を食べて、焼き米屋台へ向かう。

昼時を終え、イーシュが賄いを食べていた。

「おぉ、来たか」

「こんにちは」

がつがつと残りの焼き米をかき込むと、水筒を一気に流し込んだ。

「じゃ、やろうぜ。まず火種からな」

教えられた呪文を唱えながら、イーシュの火種を思い出す。

あれを自分の指から出現させたい。

しかし一向に火種は生まれない。

「う~ん・・・発音悪いんかな、慣れねぇと難しいからなぁ」

イチイが今話している言語ではないし、比較的馴染みのある英語に近くもない。

「意味は火の精霊よ、火種を此処に、っていう感じなんだけどな」

試しにそのまま唱えてみたが駄目だった。

「まぁ火系は割と難しい魔法なんだよな。もっと身近で馴染みのあるもんのが良いかもな、水とか植物とかさ」

水に多く触れるならば水系、森に住むなら緑系、地系など、身近にあるものの方が開花しやすいらしい。

「つっても、俺火系呪文は丸暗記だからな、水に応用とかわかんねぇし」

意味だけなら水の精霊よ、○○を此処に、となるだろう。しかしそれを精霊語に訳するのは難しい。

「火と触れ合うっつうのも難しいよな、火傷するし・・・」

手詰まりだ。

もっと身近な魔法を知っている人に、呪文を教えてもらうしかないだろうか。

「クエストで魔法使いと一緒になりそうなやつ選んでさ、教えてもらうってのもテなんだけどな、なかなか当たらねぇよなぁ」

「駄目元で行ってみようかな。どうせお金も必要だし」

学校に行くにしろ行かないにしろ、生活費は必要だ。


ギルドに行くとクライスがいた。

「おー!イチイ!クエスト受けるのか?」

「うん、魔法使いと知り合えそうなクエストないかなって」

「魔法使いねー・・・」

クエスト一覧を眺める。

「そういうのはもっとランクあげないとないかも・・・あ!」

「え?」

「これこれこれ、魔法使いからの依頼だ!」

採取クエストで報酬は銀貨1枚。

ニトロプリアに向かう時の、あの上級モンスターがいた森での薬草採取だった。

「普段はさ、あんなモンスターいないし大丈夫だろ」

夜間にしか咲かない花の採取だから面倒だけど、と続く。

「念のために俺もついてってやるよ」

こうしてとんとん拍子に決まり、明日の朝に出発すれば夜に着くだろうということになった。

クライスと共に明日用の携帯食糧や回復薬を買い、宿に戻った。

夕飯は宿でとった。





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