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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第六章
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『ハジメマシテ、イチイ・ヒツジトモウシマス』


もう完全に片言である。

聞き取りづらくても良い、通じれば!


スーの両親はぽかん、とイチイを見た。

父親は金髪碧眼のマッチョ。母親は童顔、オレンジ掛かった髪、小柄。

スー、明らかに母親似だ。


『初めまして、お嬢さん。私はこの国の王の一人、ヨシュアだ。こちらは妻のイザベル』


『コノタビハスーフェスフィアサマノオウイケイショウケンホウキノコト・・・』


『良い良い。堅苦しい話はなしだ。元々スーは、国王に向かんのでな』


あっさり。

あっさり過ぎる、それで良いのか国王。

元々このリリスフィア、国王は複数いる。

何でも国王の血を引くもの、妻が何であれ、何人でも男児はすべて国王になれるという。

王族に限り一夫多妻制でもあるので年々増える。

元々王位継承を巡る内乱で国家消滅の危機に瀕しこういう制度になったらしい。

誰か一人が代表して力を持っているわけではなく、国王会議で多数決らしいので、無駄な争いはないという。

無茶苦茶だ。

しかしとても平和な国らしい。

良い事だ。


代々王位を継がない者は三分の一程いるらしく、それほど問題ではないとのこと。

イチイもそれを聞いていたので、割と落ち着いて話が出来たのである。

・・・片言だけど。


『スーちゃん、昔からお菓子が好きだったから、今すっごく楽しそう。貴方のおかげよ~』


『ソレハヨカッタデス』


『・・・母上、人前でスーちゃんは止めてください・・・』


忘れがちだがスーの年齢、13歳。

中学校2年生相当である。


スーの両親にお土産の菓子折りと酒を渡し、談笑。

王族に飲食物は・・・と思ったのだが、リリスフィアは色々緩い。

暗殺騒ぎなどここ数百年起こってないそうだ。

毒見役なんぞ存在すらない。


息子さんをください的イベントが終了し、後は輸入販売の件についてだ。

衣類と下着がイスフェリアに入ってこないのは、単純にお国柄だというのはレンの弁だ。

それはそうだ、いきなり異国の衣類が流行ったりしない。

まずファッションリーダー的存在が貴族間に広めないと、普及は難しいだろう。

イチイはこれを、トゥレに頼むつもりだ。


『あら~、いい考えね!衣類や下着、石鹸・・・最近この国の特産にして売り出そうとしているもの全部、取り扱ってもらいたいわ~』


そう、衣類や下着、石鹸、オイルなど、割と最近広まったものらしい。


『発案者の子、今は無理だけどそのうち紹介するわね~』


輸入に関して特別税もないし、魔方陣さえ繋げれば、後は人手の確保だけだ。

こちらに関してはスー付きの従者・メイドが担ってくれるという。

魔方陣はスーの自室。

こちらは王位を継がなくてもスーの部屋のままらしい。

というか他国から門も通さず物品を城に入れるってありなんですか。


『そちらからはもちろんヒツジ商会のお菓子ね。自販機のことは聞いてるわ~』


『ア、アリガトウゴザイマス!』


何て良い人なんだろう。

息子の為だろうが、イチイにとっては大変助かる話である。


『そうそう、カカオも忘れないようにしなきゃ~』


ウスターソースなどの調味料もお願いするのを忘れない。

衣類や下着に関しては生産工房を紹介してもらうことになった。

イスフェリアにも受け入れやすいように、少し改良してもらう予定だ。

これらはヒツジ商会の利益はゼロで良い。

売り子の出来そうな人を新しく雇わなくてはならない。

人件費などの費は必要なので赤にならないよう調整するが、ほぼリリスフィアに還元して良いとイチイは考えている。

ついでに他国のアクセサリー類を取り寄せてセレクトショップを作ると楽しそうかもしれない。

まずは土地と店舗が必要だ。

イスフェリアに戻ったらさっそく準備に入ろう。





これでヒツジ商会、4カ国制覇である。





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