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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第六章
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夏期休暇前には無属性魔法石使用の一通り家電を作り終え、レポートを提出した。

扇風機やエアコン、ホットカーペットなどの冷暖房器具や冷蔵庫やポット、フードプロセッサーなどの調理器具、間接照明や懐中電灯などの照明器具などなど。

温度調節部分が開発途中のオーブンや電話もどきは除外。


電話もどき基念話の魔道具は、現在難航中。

記録用の魔方陣をその場で再生することは可能なのだが、それを転移先で再生するところまではいっていない。

記録用の魔方陣自体を転移の魔方陣で送り、相手側で再生してもらうのは可能だが、それだと手間がかかる。それにその方法だと魔法が使える人しか使用できないので意味がない。

そもそもこの魔方陣、魔方陣を描く際に声の記録をするのである。


「記録用魔方陣の改良が先だね」


せめて魔方陣を描き終わった後に声を記録出来るように改良したい。

そうすれば魔方陣を描けなくても声を記録することが出来る。

この調子だと帰る前に完成しないような気がする。

どうにか間に合わせたいところだ。




無属性魔法石の販売も開始。

ヒツジ商会の魔道具はすべて同じ型を採用しているので魔法石も一種類だけだ。

充電式でもあるので空を持ってくると次回購入の魔法石が値引きされる。

そのまま魔法石に充電でも良かったのだが、それだとイチイ達の不在時に対応が出来ないため見送り。

まだ高価なため、顧客は王族や貴族のみだ。

普及していけば少しずつ安くなると思うのだが。

家庭用魔道具も魔玩具も中々の売り上げだ。

現在パフェ・フェア開催中で、こちらも上々。

自販機もテイクアウトも好調、ニトロプリア店も安定した売り上げ。

屋台の時より若干利益も上がっているようだ。







そしてキティも、順調に実力を付けている。

初めてキティと組んだ月末テストの後、ミレーユに頼まれた。

今まで校外実習で上手くいった試しがなかったらしい。

それがイチイと組んで割と上手くいったので、面倒を見て欲しい、と。

それから毎回月末テストのペアはキティなのだ。

イチイとしても少しずつ実力が上がって行くのは見ていて楽しい。遣り甲斐がある。

元々実力がないわけではなかったが、何せパニック体質。

戦略さえきちんと考えれば、森のレベルもそう高くないので充分だ。

だけど上手くフォローが出来る人が一緒でないパーティは組まない方が良いと思う。

それでも出来る限り戦闘系の進路に進まないのが良いのだが。


「すごいです!片手同時撃ち!!」


「うん、上手になったね」


魔法は普通、両手から1つ出す。

片手だと安定が悪く、命中率が下がるからだ。

コントロールの上手い人は片手でも余裕である。

キティはコントロールが悪くない。

そこでイチイが提案したのが片手ずつ、同時に魔法を撃つことだった。

片手ずつ違う魔法だと難しいのだが、同じ魔法を片手ずつ撃つことはそこまで難しいことではない。

利き手ではない方で撃つと利き手よりも命中率や威力が下がるが、それでも充分使える。

これが出来ればキティでも同時に複数相手に出来る。

上達していけば数を増やすことも出来るだろうし、追跡系の攻撃魔法を覚えればもっと戦える。


「すごいです、イチイさんの弟子にしてもらえて良かったです!」


「・・・はい?」


弟子?

キティを弟子をとった覚えはないのだが。

 

「覚えてないと思いますけど、1年のとき、棒術、選択してたんです」


「あー・・・ごめん」


「いいんです・・・ただ、あの時からずっと、すごいなぁって、憧れてて・・・だから、今すごく嬉しくて」


何というか、こそばゆい?


「そ、そうか」


「だ、だから、私、卒業しても弟子でいたいんです!」


「・・・はい?」


何だろう、この展開。

目をうるうるさせて上目遣いで見つめて来る、小さな女の子。

古いけど、チワワだ、チワワがいる!


「え・・・っと、ごめんね?私卒業後、故郷に帰るから・・・」


「そんなっ!故郷ってどこですか?!着いて行きます!!」


「いやいやいやむりむりむり」


「私、イチイさんなしじゃ生きていけません!」


「ナイナイ。とにかく、ごめんね。卒業後はイスフェリアにいないから」


「・・・私、諦めませんからっ!」


何だか厄介な人が増えた気が。

今度は女子だけど。





数日後、ヒツジ商会に乗り込んで来て居据わるようになったキティであった。








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