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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第六章
124/154

122

『ハジメマシテ』


・・・どうしても片言になるのは仕方のないことだと思うんだ。

ほら、日本語と発音の仕方自体違うんだし。


「ちがう、『初めまして』です」


『ハジメマシテ』


あああああ。

だから言語嫌いなんだってば!!


ただいま、リリスフィア言語の勉強会の真っ最中。

テストに発音は出ないけど、夏にはスーのご両親への挨拶もあるわけで、発音含めの勉強中なのである。

勿論テスト対策でもあるので筆記も忘れない。

ひたすら単語と基本文型、応用を丸暗記。

ひっかけ問題が出ると即アウトだ。


「他の勉強はすごく優秀なのにねー」


「うぅ・・・」


スーは母国語なので勿論、ミカは四ヶ国語既にマスター、トマも発音は完璧。

むしろイスフェリア言語とリリスフィア言語の発音はよく似ているので出来ない方がおかしい。

イチイにとってイスフェリア言語とチガヤ言語は自動翻訳なので、似ているとか似ていないとかまったくわからないのである。


「夏期休暇まで特訓だね。学校の会話は全部、リリスフィア言語にする?」


「無理!特に魔道具の授業!!」


「あ、そっか。それはおれも無理だなー」


でも出来るだけリリスフィア言語で話すことに決定。

挨拶の他に商談もあるので流暢に話せるにこしたことはない。




店の片隅で行われている勉強会なので、店で何かあればすぐ対応できる。

今日はロニが表、エルマが裏を担当している。


「イチイ」


「はい?」


「花束が届いたんだけど」


ロニから花束を受け取る。

向日葵がメインで黄色とオレンジの配色の花束。

かわいい。


「私宛?」


心当たり、全くないんだが。

カードを開いてみる。


【無属性魔法石の研究が認められたそうで、魔法研究所の所員から話を聞いた。

 さすが私が認めた人だ。おめでとう。

 卒業を心待ちにしている。     

 愛を込めて             オウザイアス・モーズィズ・リフレクト】



「・・・・・は?」


いやいやいやいや。

愛って。愛って!

え、あれってそういう意味じゃなかったんじゃないのだろうか。

そういう意味だったんだろうか。

いやそういう問題じゃない。



「イチイ、どうした?顔が赤いけど」


「えぇ?!」


顔赤くなってるのか。

恥しい。


「・・・・・いや、花束貰うのって初めてで。何というか照れる、ね」


「誰からー?」


「えーと・・・オウザイアス・モーズィズ・リフレクト。剣術大会優勝の人。無属性魔法石の認定のお祝いみたいだね」


「あー!あの大勢の前で告白した人かぁ!」


「はぁ!?告白って何だそれ!」


「あ、兄上知らなかったんだっけ?模擬戦でイチイに大告白した人がいてね。魔法騎士団の期待の新人だって」


「そ、それでイチイは・・・」


「そういえば返事してないよね」


「・・・確かに。女子の絶叫凄くて茫然としてる間に行っちゃったんだよね」


まずいな。

カードを見るからにイチイが行くことになっているかのような文面。

行きません。

行きませんよー。


「花束のお礼もあるし、今度話してみるよ・・・」


トゥレに頼めば魔法騎士団の寮にも連絡は付けられるだろう。


どういう意味で誘われているのかわからないけど、どちらにせよ、遠慮させていただきます!

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