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今年度の自然魔法の選択は地と風と補助にした。
これには一応理由がある。
前と同じ人数が少ないからという理由ではなく、重力操作の魔法を開発するためだ。
それと同時に風、浮遊魔法で”空を飛ぶ”魔法の確立。これを目指している。
専攻したものと順番が同じなのはケイトだけなので、自然魔法の授業が一緒なのはケイトだけだ。
今年からクラス単位の授業がなくなり、変わりに少人数制になったのだが、これは成績順らしい。
ケイトやミカと同じグループなのだが、残念なことに、非常に残念なことに、ブラックマンとも同じグループとなった。なんてことだ。
言語は4つ目、4カ国最後のリリスフィア言語となる。
当たり前だが全く理解できない。地道に勉強するしかない。
夏にはリリスフィアに行くわけだし、日常会話と挨拶くらいは出来ないと・・・!
それにこれがマスター出来ればスーとの意思の疎通も簡単になるかもしれない。
そうか、魔道具で翻訳機という手もあるな。
そして問題の武術。
今回から生徒の熱い要望により”騎馬”というクラスが出来たらしい。
馬術は純粋に馬に乗ってスピードを競っていたのだが、騎馬は馬に乗って好きな武器を持って戦う武術になるらしい。
馬術は得意ではないのだが、何故だか強制的にこの武術を選択させられた。
こういうときのオースティンは押しが強いな。
自分の愛馬がいれば愛馬の使用可ということなのだが、生憎イチイには愛馬がいない。
・・・ドラゴンならいるのだが。
いない場合は勿論学校の馬を貸してもらえる。
そんなわけで以上が最終学年の授業内容である。
うん、見事に全てケイトと一緒だ。
そして一つもスーとマーサと被っていない。
リンクは騎馬で同じである。
「ケイトは何で、そこまでするの?」
菓子店で仕込みをしながら尋ねる。
「一緒にいたいから」
タラシっぽい笑顔でケイトは答える。
それが嘘でないことはわかるのだが。
「何故一緒にいたいと?」
「愛しているから」
一瞬泣きそうに見えた。
だけど次の瞬間には食えない笑顔。
「誰が誰を?」
「俺がイチイを」
「それは嘘だ」
「嘘じゃないのに」
何だかなぁ。
ケイトが何を考えているのかわからない。
悪意があるわけではないのだろうと思う。
だけど真意もわからない。
「まぁいいか」
「いいんだ?」
「害はないからね」
「そっか」
「うん」
「・・・そういう会話は2人っきりのときにしてよね」
「よねー・・・」
呆れ顔のトマと、辛うじて愛しているが聞き取れたらしいスーから苦情を頂きました。