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3回戦。
剣術大会優勝者の、彼である。
オウザイアス・モーズィズ・リフレクト。
言い難いッ!
剣術が得意な彼らしく、身体強化・シールド全開で特攻。
愛用の剣には炎が纏う。
「むりむりむりむりむりむり」
イチイはそれをバックステップで躱す。
スピードがあるので避けるだけじゃ無理だ。
これは覚悟を決めるべきだろうか。
ロッドに相手よりも明らかに大きな炎を纏わせる。
実際の効果というよりも、演出、要はハッタリだ。
偶に龍を纏わせたりして度肝を抜こう大作戦。
多少効果はあったようだ。
一瞬怯んだその隙にロッドを打ち込む。
金属音が響く。
互いに攻守が繰り返される。
「くっ」
キリがない、内心嘆くイチイだが活路が見えた。
っていうか相手の魔力切れになりそうだ。
こんな勝ち方は好きではないが致し方ない。
イチイはバックステップで大きく間合いを取った。
大きく肩で息をしてこちらを睨みつけてくる。
どうやら金髪碧眼美形な彼は女子生徒に人気らしい。
女子生徒のブーイングと視線が痛いッ!
ロッドを終い、双刃を取り出す。
左手に炎、右手に風。
目前でクロスさせ、地を蹴った。
3回戦の所要時間1時間強。
イチイの試合が一番時間が掛かったため、その間に4回戦は進められていた。
残すところイチイ対、というところで休憩時間が設けられた。
午後一番にイチイの試合と五回戦が開始される。
置いてきぼり気分だ。
「イチイ・ヒツジ?」
爵位が上だとモンテ・ハロンの部分は略されることはよくある。
汗だくで大の字になっていたイチイの頭上から、声が掛けられた。
「はい?」
彼だと視覚すると、身体を起こす。
貴族の礼を行うとすると止められた。
そのため、イチイは床に座ったままとなる。
見上げると彼も膝を折って目線を合わせて来た。
すい、と手を取られ、甲にキス。
「貴方の腕前には恐れいった。卒業後、是非私の元へ来てほしい」
その言葉に会場中に多くの女子生徒の絶叫が響き渡った。
これは下につけって意味でいいんですよね・・・・・?
つかないけど!