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模擬戦当日。
参加者が100名を超えたため、2日に渡る日程となった。
予想以上だ。
3年生の参加者は20名弱と4年生に比べると大分少ない。
「普段からイチイ見てると出る気なくすと思うー」
「何で?」
「だってねぇ?」
「ねー?」
スーがトマの真似をしてかわいく首を傾げる。
そういえばスーってあんまり成長してないな。
模擬戦は剣術大会と同じくトーナメント式。
体育館のような場所で行うので、2階に観客席があり、魔法被害が行かないようにシールドが貼られている。
「イチイさん」
「はい?」
トマとスーと騒いでいるとミレイユに呼び止められた。
ミカは興味がないと言って寮に籠っている。
「お願いだからシールド壊さない程度の魔法に留めてね」
「は・・・」
何だそれ。
ミレイユの中でイチイのイメージはどうなっているのか。
「っていうか手加減して優勝してね」
「はい?」
「教員全員一致で優勝候補筆頭なのよね。っていうかシールドが大丈夫かどうかって職員会議になるくらい」
「えぇー・・・」
なんだかなあ。
「兎に角、死者は出さないで!腕の一本や二本、回復魔法でどうにでもなるわ!だけど、死者だけは出さないように!特にブラックマン家の御子息!!」
「いやいやいや死者なんて出しませんよ。ってなんでブラックマン」
イチイだって好き好んで人殺しになろうと思わない。
「貴方嫌いな人に容赦ないから」
「・・・それは認めますが、さすがに殺したりしませんよ」
「お願いね!」
そういいながら去っていくミレイユ。
「私ってそんなイメージ・・・」
「んー・・・まぁそうかも?」
「かも?」
「2人まで・・・」
模擬戦には敗者復活がない。
なので一度負けるとそこで終了。
気合をいれて臨まなければ。
特別観客席にはトゥレを始めとする王族(イチイはトゥレ以外の顔がわからない)や魔法騎士団の幹部や他国の要人なんかもいるようだ。
レンのおかあさんも、おねえさんとディアもいる。
イスフェリアの貴族もずらりと並び、何だか仰々しいというか。
「いやそれほどこの模擬戦って注目度高いんだよ」
「そうなの?っていうかリリスフィアの人も来てるの?」
「来てる」
「挨拶行くべきかな?」
「行かない。兄上、良くない」
「良くない?」
「良くない」
よくわからないけどふるふると首を振るスー。
まぁいいか、挨拶は夏に行くし。