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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第一章
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9・ニトロプリア

少し休んで、まずしたことは荷物の回収だ。

回復薬を飲むとかなり楽になった。

コンパスで方角を確認し、西へ向かう。

そのうち誰かに合流できるだろう。


「カークさん!」

「イチイ!良かった、無事だったか」

「はい、なんとか」

カークはほぼ無傷だ。この森のモンスターは、彼ら1人で負けることはない。

よほど囲まれるか、ああいうイレギュラーが発生しない限り。

徒歩組はあとフィン、ボルフ。合流出来れば良い。

馬組はもう街に着いている頃だ。

森になっている林檎をもぎながら、ゆっくりと歩く。

ボルフ、フィンとも無事合流出来、街を目指す。

あのモンスターを倒したことを告げると、かなり驚かれた。

眼球や口内を狙うなど、今まで聞いたことがなかったらしく、ギルドに情報を寄せれば謝礼が貰えるかもしれないらしい。イチイでも思いつくくらいのことなのだが、常識に捉われると見えないものもある。

合流してからかなり急ぎ足だったおかげか、その日のうちに森を出ることが出来た。

ただもう真夜中だったので、2人ずつ睡眠をとり、朝になってから歩くことになった。

そうすれば昼過ぎには街へ着くだろうとのこと。

疲れたせいか、爆睡した。

が、ほんの少しで起こされた。

クライスたち救援が到着したのである。


馬車に全員乗れるということで、そのまま街へ向かい、勧められた宿にそのまま倒れこむように眠った。

とりあえず今は爆睡させて。

昼まで寝たい。






イチイの目が覚めたのは、昼過ぎだった。

宿屋の受付へ下り、昨日払ってなかった料金を払う。宿屋は基本前払いだ。

銀貨1枚で3日。ロハの宿屋の倍以上の物価だ。部屋は新しかったが。

「おー、起きたか。腹減ってね?麺食いに行こうぜ」

「はい!」

全身筋肉痛ではあったが、お腹は空いている。

クライスさんお勧めの屋台で塩ラーメンもどきを食べた。

久々の麺は美味しい。

魚介ベースの塩味のスープに、パスタに近い麺。

具は海老や貝、魚、水菜。

「夜もお勧めの店あっから行こうぜ。迎えに行く」

何となくヨーロッパ風なので夜はピザとかパエリアとか来そうな気がする。

楽しみだ。


食べ終わった後、冒険者ギルドに案内してもらった。

冒険者として生きるつもりはないが、便利だそうなので登録だけしておく。

それから昨日のモンスターの情報、素材などを売った。

上級モンスターを討伐したということでランクは下から2番目、Fとなった。

ランクはSS、S、A~Gらしい。

5人はC、Dランクらしい。一番多いランクでDで一人前、といわれている。

クライスとはそこで別れ、そのままクエスト一覧を眺める。

採取系も討伐系も、地名やモンスター名がイマイチすぎてわけがわからない。

理解することは諦めて、街中を散歩する。

この街にも中央広場があり、屋台が並んでいる。

先程の麺屋もここにある。屋台は国の文化なのだろうか。

適当に屋台を覗く。

「いらっしゃい!焼き米どうだい?」

「焼き米?」

「これだよこれ」

若い店主が指さすもの、それは。



炒飯!?



この世界初の米だ。

この世界へ来て約1ヶ月、恋しかった日本食。

炒飯は日本食ではないが米は米。

正直お腹は空いていないが、ついつい買ってしまう。

店主はサービスだと言って、すごいパフォーマンスを見せてくれた。


ふるわれる中華鍋に炎の龍が踊る。

「炎の、龍・・・」

「俺この火系魔法得意なんだよね、それでこの商売ってわけ」

焼き米は火力が命!と言って笑う。

イチイ、魔法との邂逅、である。



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