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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第六章
108/154

106

ウェディングケーキの登場で、会場が沸いた。

ケーキ自体に馴染みがなく、ぽかーんとしている人もいたが、大抵が大きさに驚いていた。

驚いてもらったり喜んでもらえると嬉しいものだ。



「ねぇね!これ、ミィも手伝ったー!」


「俺も!ここのクリーム塗ったんだよ!」


2人がはしゃぎ、エルマに報告する。


「すごい!2人とも上手ね!ありがとう、とっても嬉しいわ」


イチイは少し離れた場所で麗しい兄弟愛を眺めていた。





「ヒツジ様、私ご招待されてないんですけれど、加えては貰えないかしら?」


何処から現れた。

トゥレである。


「私の大好きなマカロンをあしらったウェディングケーキですって?そんなの是非見たいじゃない、食べたいじゃない?」


「いやいやいや」


「大丈夫、ちゃんとお祝いの品も持って来ましたの」


「いやいやいや」


「ヒツジ様がちょーっと口を効いてくれるだけで、きっと大丈夫だと思いますの」


引く気ゼロですね、わかります。

平民の結婚式に姫が直々にって有り得ないでしょうに。

っていうか姫が言い出した時点で誰にも止められませんが。

というかどこからケーキの話を聞いたのか。


「コヅさん、ちょっと・・・」


家族で団欒中のエルマたちには聞こえないよう、コヅだけを呼ぶ。


「三の姫が来てるんだけど」


「・・・は?」


「初めまして、トゥレと御呼び下さいませ。この度はおめでとうございます」


「え、は、え?ありがとうございます?」


コヅでさえ混乱するんだ。

イチイは何故かそういう感想を抱く。


「これ、お祝の品ですわ。どうぞ奥様に」


どうやら宝石細工らしい。

そういえばレンのおかあさんもおねえさんに出産祝いと宝石細工を渡していた。

王族の祝の品って宝石細工なんだろうか。


「えええええ!イイイイチイ、これ、これ!」


何が言いたいのかさっぱりだ。


「コヅさん、何が言いたいかわかりません」


「だって、これ、高い!」


「えー、それ私に振られても私常識知らないんでわかりませんよ」


「そうだった・・・!」


納得されるのも何かむかつくんだが。


「お気になさらないでくださいませ。ご招待もされていないのに押しかけて来たんですもの、迷惑料込ですわ」


トゥレの笑顔に顔を引き攣らせながら、コヅはエルマの元へ向かう。

すると今度はエルマのご両親まで一緒になって恐縮する始末。

ちょっとおもしろい。

わかってないのは幼いミィだけだ。

周りも状況を理解してざわめく。


「私ヒツジ様のお菓子の大ファンなんですの。だからウェディングケーキの話を聞いて我慢できなくて・・・」


その言葉にではさっそくとケーキがカットされる。

もちろんナイフを2人で持ってもらいの共同作業だ。


トゥレの乱入により場は騒然としたものの、無事式は終了。


後日何故かこの話が広まり、結婚式にはウェディングケーキを用意、それもマカロン付き、という決まりが出来たとか出来ないとか。







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