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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第六章
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夏期休暇が明け、新学期。

恒例のお土産交換だ。

女子には革のコサージュや小物入れ、トマとスーにはミルクジャムやヨーグルト、他の男子にはスモークチーズだ。

イチイが貰ったお土産は、リボンやタイといった、白シャツ用の小物が圧倒的に多かった。

ローブ下の白シャツが定着しているらしい。

名前も知らない人からも、何故か土産をもらってしまった。

とりあえず数のあったスモークチーズを渡したが。



さて、剣術大会が始まる。

任意ではあるが、名を残せるとあって腕に覚えのある3、4年生の貴族が殺到するらしい。

イチイも副賞の金貨目当てで参加するつもりだったのだが、思いの外収入が上がり、正直参加の意味がなくなった。

しかしオースティンが黙っていないだろう。


イチイの3年生の計画では、秋と冬にある剣術大会に出場で金貨ゲット出来れば上々、3年の終わりの春の模擬戦で確実に金貨ゲット、だった。

模擬戦は魔法使用が可能なため、自信過剰かもしれないが、優勝頂きだと思っている。

剣術大会では魔法が使用できないので、良いとこ10位以内だと見ている。

4年生とは授業が違うため、実力を知らないのだ。




「イチイ殿、貴殿は勿論参加するだろう?」


オースティンの目は、参加することを疑ってない。

一応疑問形のはずなのに。


「・・・んー、たぶん?」


「参加者申請、共に出しておこう」


うわ。

そう来たか。

参加決定である。


剣術大会は来月。

それまで精々、自主練に励むとしよう。







「イチイとスーは進路、お菓子屋さんだもんね」


トマが溜息をつく。

進路で悩んでいるらしい。

四男であるトマは、伯爵家を継ぐということは出来ない。

何かで生計を立てなければならないのだ。


「正直、おれ、のんびり暮らしたいだけなんだけど」


そうもいかないんだよね。

一応、貴族だし。世間体とかね。


「植物学者になるんじゃ?」


「それは単なる趣味っていうか・・・面白い植物育てたいだけだもん」


「あー・・・」


トマってロニに似てる。

言わないけど。

っていうか次男次女以外全員、基本自由人だ。


「このまま菓子屋就職ってどう?」


「あー!それいい!」


庭は好きな植物で埋め尽くしてるし、割と自由も利く。


「問題は貴族らしからぬってところだけど」


「大丈夫!四男だし!っていうか兄上冒険者だし!似たようなもの!」


貴族の後継ぎ以外は騎士や宮仕えの魔法使いが一般的らしいのだが。

それで良いのだろうか。


「父上も母上も気にしない気がする!」


確かに伯爵は気にしないような気がする。

何ていうか・・・変わってるし。

伯爵夫人も同じく。

貴族ルールでは名前は長ったらしく、らしいのだが、覚えるのが面倒だわ、の一言で兄弟全員の名前を短くし、あろうことかセカンドネームもない。

おもしろすぎる。

レンもレンという愛称だけど、セカンドネームやサードネームもあるので本当の名前は長いというのに。


「まぁ、進路が卒業まで決まらなかったら、菓子屋一緒にやろうよ」


「うん!」


それが一番楽しそうだと、トマは笑った。






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