第3話 3歳
転生から3年が経過した綾人。この3年間欠かさず呪力の鍛錬を継続し続けてきた綾人。しかしそれにもさすがに飽きはやってくる。
〈いい加減に目一杯に呪術を使いたいな~。人の目を気にしながらだとできることも限られるんだよな~〉
やはり両親にも周囲のだれにも自身に関しては秘密にしているために呪力の鍛錬にも限界はある。それがどうやら不満らしい。
〈まあでもこればっかりは1人で歩けるようになるまで我慢したほうがいいのか。 というかいつまで隠さないといけないんだ?〉
転生などについては生涯にわたって隠すつもりの綾人だが自身の呪術の腕については別だろうと考えている。
〈うう~ん……徐々に実力を出していって……最適なのは高校生ぐらい?早いかな?〉
今から将来について考え込む3歳児。
ちなみに今は両親と共にショッピングモールにやってきている。
「ねえ?綾人は今日はなに食べたい?」
「僕はね!ハンバーグ!」
「ハハ!本当に綾人はハンバーグが好きだなー!」
「それじゃあ今日はハンバーグにしちゃおうかな?」
「よかったなー!綾人!ママのハンバーグはおいしいからな!」
「うん!やったー!ママのハンバーグだーいすき!」
転生者で精神が大人な綾人だがそこは子供っぽく演技中。
〈はあ~……早く大人になりたい……〉
精神が疲れている綾人だった。そうしてそのままハンバーグの買い物をして帰ろうとしたその時に事件は発生した。
「よし!それじゃあ帰るか!」
「ええ。そうね」
「うん!帰ろうー!早くママのハンバーグが食べたいなー!」
「ふふふ。待っててね?すぐ作ってあげるからね?」
「その間はパパとゲームでもしてるか綾人!」
「うん!僕ゲームする!」
そんな話をしていると周囲に霧のようなもの立ち込めていくのに3人は気が付いた。
「なんだ?霧?」
まず初めに気が付いたのは父親の恭平。突然に建物内にて発生した霧を怪しむ。
「……あなた……」
ガタッ
その声に恭平が振り向くと膝をつき今にも倒れそうな美鈴の姿が。
「美鈴!?どうしっ!?」
ガタッ
すると美鈴に遅れて恭平も膝をつく。その段階に立ちようやく恭平も状況を理解した。この霧が催眠効果の固有呪術で発生させられた霧であると。
「くっ……【雷……」
「あや……【雪……」
バタバタン
気が付いた2人はなんとか現状を打破しようと自身の固有呪術を発動させようとしたがそれは時すでに遅し。発動されることもなく2人は眠りに落ちた。
ちなみに父親・神護恭平の固有呪術は雷の性質を持つ剣を召喚する【雷剣】で母親・神護美鈴は雪だるまの式神を召喚する【雪達磨】。
ドタドタドタドタ
霧が立ち込めてショッピングモールにいるすべての人が眠りだしてから数分後。霧も晴れてきたときに10人以上の武装した人間たちがショッピングモールに入ってくる。その多くが銃を手にしていた。
「ボス!全員眠りやした!」
「……よくやった……」
ボスと呼ばれた男が小さくそう返事をすると共にやってきた部下たちに向かって宣言する。
「ここにあるすべての金目のものは俺たち"烏獄"のものだ!すべてを奪い尽くせ!」
「「「「うおおおおお!!」」」」
それが引き金となり男たちはショッピングモール内に散っていく。するとボスは近くにいた部下に指示を出す。
「おい。ガキを忘れんじぇねえぞ」
「もちろんです。ガキは高く売れますからね」
この連中は裏呪術師組織”烏獄"。金品強奪に子供の拉致・売買が目的でこのショッピングモールにやってきた。ちなみに裏呪術師組織とは呪力を持ちながらも呪術師協会に参加せず己の欲求のために呪術を行使する非合法な裏組織。そんな裏呪術師には危険度が設定されており一番上から特A~Dとある。
そんな中でも"烏獄"のボスをしている十文字吉延は危険度Bでありこれは裏呪術師の中でも相当な高さとなる。
しかし彼ら"烏獄"は運がなかった。今のショッピングモールには赤ちゃんチートにて鍛え続けた大人幼児がいる。
「おい!あそこのガキも運び出せ!」
「へい!」
指示を受けて1人の男が両親と同様に寝そべっている綾人に接近。男は一瞬美鈴に目をやるが踏みとどまる。
「くそ~!こんな美人と一発やりてえがさすがにぶっ殺されちまうか!」
そういいながら両親の間で眠っている綾人を担ごうと腰を曲げるがそれが男の最後の言葉となった。
「代わりに俺が殺してやるよ」
「は?」
綾人は瞬時に立ち上がり一瞬にして呪力を高速循環させる基礎呪術の身体強化を発動。下がった腹に一発思い一撃をお見舞いした。
ドゴン!!
「がはっ!?」
バタン
綾人の身体強化された重い一撃を食らった男はその一撃で気絶。
「ふう……さすがにこの状況は見過ごせないよな?」
なぜ二級呪術師である恭平と美鈴が眠って綾人が無事なのかといえばそれは基礎呪術の差といえる。基礎呪術とはつまり呪力の操作が肝となっているのだがその練度が3歳児の綾人のほうが高く、綾人は瞬時に体内に侵入した霧の排出と口と鼻の防御を同時並行で行った。その結果綾人だけが無事だったということ。
これが両親ができなかった理由としては二級となり任務を遂行する中で固有呪術に頼りきり呪力の鍛錬を疎かにした影響だった。
「な!?なんであいつが気絶してんだ!?」
「なんだこのガキ!?」
「まさかこのガキは呪妖じゃねえのか!?」
「きっとそうだ!?そうじゃなきゃあんなガキにやられるわけがねえ!?」
近くにいる4人の男たちは3歳児が呪術師ではないとはいえ一撃で鍛えられた男を気絶させたことに綾人を呪妖扱い。
「人を化け物みたいに。 まあいいや。とりあえず……俺の訓練相手になってくれ……」
「「「ヒイイイ!?!?」」」
こうして周囲が眠っていることをいいことに暴れだす綾人だった。
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