16 二つ名
『不敗の火野』
まさかそのような二つ名が流れているとは思っておらず火野は少し恥ずかしくなった。
自分が思っているよりも周囲は自分のことを注意深く見ているのかもしれない。
「報復や恨み以外で喧嘩吹っ掛けられたことはある?」
瑠璃子が問いかける。
「いや、それはないかな。大体江田関係の人が呼び出しきてたよ。でもそっちは話がついたから大丈夫なはず」
「もしかしたらこれからは違うジャンルの人来るかもね」
瑠璃子は無邪気に見えた表情を隠し真剣な面持ちになった。
彼女が感情にもメリハリがあることを知っているのでこれから話すことは真剣な話なのだと容易に想像が付いた。
腰を浮かせて座り直して手を組んだ。
「どういう人たちなの?」
「腕試しをしたい人。つまり喧嘩に自信がある人だね」
人差し指と中指を立てて『2』のポーズを作った。
「この前会ったっていう相葉さんはその手の人だったんだよ。認めたこと相手としか喧嘩をしない武闘派で喧嘩するために喧嘩をするって感じ」
圭一は思い返すと確かにそうだったなと思った。
あの場にも相葉は他のメンバーとやってきてはいたが当初は手は出さずにただ見ているだけだった。
もしものための保険として呼ばれたのだろう。
周りのメンバーも彼が動かなかったことに関して気にしている素振りは見せていなかった。
『天秤の相葉』
相葉のこと瑠璃子はそう言った。
強いか弱いか、彼が見ているのはそのどちらかに傾くことだけ。
的確に彼を表現しているなと圭一は思った。
彼の性格的にも優柔不断とかけ離れた傾向にあり日常会話でもそれが見られた。
特に印象的だったのはファミレスで飯を食べにきた時のことだろう。
深夜になってしまい他の店がしまっていたので急遽来たので圭一は何を食べるか考えていなかった。
席へ座りメニューを広げるも相葉はその素振りをしなかった。
「何食べるか決めないの?」
「俺はチャーハンにする」
店に入る前から食べるものを定めていたのだ。
自分のしたいことをする、それ以外はしない。
天秤という名前は相葉にとても的確な表現であった。
拙い文章ですが読んでいただきありがとうございます!
レビューや感想をいただけるととても幸いです。
次回から文字数を増やしつつ2日おきに投稿しようと思っていますのでよろしくお願いします!




