14 瑠璃子の戸惑い
2025.11.6
2エピソードを結合しました。
まさか圭一と遭遇するとは思わなかった瑠璃子は驚きを隠しつつ彼に話しかけた。
先に話かけられて動揺しているのがバレるのがいやで声を掛けてたが、何を話していいのか何も考えていなかった。
なぜ圭一を見て動揺しているのかというと彼のことで考え事をしていたからだ。
友人と学校で彼の話題を話していた際に直接話したいとは思ったもののどう話しかければいいか思い付かなかった。
偶然を装って声を掛ければいいのか、なにか用事を見つけていいのかなど案を色々と考えていた。
無論、これは学校内でのことを想定していた。
そんなことを電車の中で揺られながらもずっと考えていた。
自宅のある最寄りの駅に着いても考えはついにまとまらなかった。
駅から家までの延長戦に入りかけていたところで、人混みに追い返させられる圭一を偶然見つけてしまった。
奇しくもプランAが成立してしまったというわけだ。
ちなみにプランBはまだ考えていない。
ここからは先ほども述べた通り動揺がバレたくなくてエトセトラエトセトラ……。
「どうしたんだ一条?」
「……は、はい!?」
「いや、急に黙り込んだから」
変な声が出て顔が赤くなるのを感じつつ冷静を努めようとする。
一呼吸おいて恥ずかしさで上がった心拍数を抑えのに務めた。
冷静になったところでいま感じた疑問を口にした。
「そういえば私のこと覚えてたんだ。最近話すことないから忘れられてるかと思った」
「正直さっきまで頭に名前が出てこなかったよ」
圭一の冗談に2人は笑いをこぼす。こんな風に話したのはいつぶりだっただろう。
事件のあとは多少話すことはあってもお互いに気を遣って談笑することはなくなっていた。
だからこうしてもう一度笑い合えるのはとても嬉しかった。
改めて圭一の顔を見る。あの頃と変わってないと思っていたのだが随分幼さが消えているように見える。
元々大人びた風貌だったがどこか子供らしさは残っていた。なにが違うと問われても分からない。
あえてというなら目つきだろうか。
鋭くなったなと少し感じる。
何事も受け入れそうな黒い目もいまや自分にとってなにが必要かを見極めるフィルターがあるのだろう。
何がそうさせたのか、この数ヶ月でなにがあったのか瑠璃子は気になった。
「また忘れられるのも癪だしちょっと話そうよ」
「いいね、立ち話もなんだしそこの店行こうか」
◇
駅の東口のロータリーにある有名チェーンのカフェが目に入り圭一と瑠璃子はそこで話すことにした。
店内に入ると多くの利用客で賑わっていた。
満席ではないが8割ほどはすでに埋まっている。
駅周辺に何校か高校や大学があるのでそこの学生が放課後に利用するようだ。
またややオシャレな風合いなので女学生グループやカップルが多く見られる。
(普段茜と来るからあまり考えてなかった。ちょっと気まずいかも)
目に付いた店とはいえ落ち着けるのが前提だ。
もし圭一が嫌がってるのだとしたら別にしようか考えながら横目で顔を見てみる。
「何名様ですか?」
「2人で」
「こちらへどうぞー」
大学生くらいの女性店員の問いかけに対し平然と対応している。
どうやら気にしていたのは私だったみたいだ、と瑠璃子は内心ガッカリした。
もしかしてこういうお店は慣れていたりするのだろうか。
身近にお姉さんとか妹とか女性がいるとか、はたまた彼女がいるのだろうか。
いらぬ想像が頭を巡っていきだんだんと混乱してくる。
(よし、あとで聞いてみよう)
考え尽くした結果、瑠璃子はそう決心することに至った。
先ほどの店員に案内されると1番奥の角にある2人用のテーブルまで通された。
壁際に沿って2人席のテーブルが列となって並んでおり、客同士が背中同時になるように整列している。
圭一は店内側に座り瑠璃子は角側の席に座る。
右と後ろが壁となっているのでなんとも言えない安心感に包まれる。
自意識はないがこういう適度な圧迫感が自分は好きなのだろうか。
落ち着きかけたところで先ほどの疑念が再燃する。
席順で揉めることがなく平然と座れたからだ。
彼女にとってこの座る場所というのは心理が反映されるものだと思っている。
何故なら高校生はビジネスシーンなどでの席順を知識で知っているものは約半数くらいだろう。
知ってはいても実践している人はまたその半分だと思っている。
なので友達同士で来ると大半は空いているところに流れで入っていく。
だがここで知っている人と知らない人では行動に差が出る。
前者は先に座り、後者は様子を見てから空いたとこらに座るのだ。
これはどこのグループでも同じ反応をするので側からみると面白い。
これを見るのは少し楽しいので大体後方にいるので店内側に座ることが多いのだ。
さて、ここからがいつもと違うところだ。




