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第二十二話:王国の秘宝と、勇者の祝福

 魔神王ヴァルファスの真の力、そしてその弱点を見出した俺は、すぐさま次の行動に移った。


 この複雑な戦略を実行するには、俺のチート能力だけでは足りない。彼女たちの協力、そして何より、この王国の全てのリソースが必要となる。


 執務室に、セレスティーナ、エミリア、フローラを招集した。彼女たちの顔には、決意と、わずかな不安が混じり合っていた。


「みんな……いよいよ、魔神王ヴァルファスとの最終決戦が近い」


 俺がそう切り出すと、彼女たちは静かに頷いた。


「ヴァルファスは、これまで俺たちが倒してきた七つの大罪の全ての力を持ち合わせている。いや、それどころか、大罪たちは彼の力のカケラに過ぎない」


 俺の言葉に、セレスティーナは息を呑み、エミリアは険しい表情になり、フローラは厳かに目を閉じた。


「だが、奴の強大さこそが、奴の弱点になる。奴の力は、あまりにも多岐にわたり、一つに統合されているがゆえに、俺の能力で個別に、そして同時に攻撃できる。そうすれば、奴は本体にダメージを蓄積していく。その後、本体に致命的な一撃を与えるチャンスが生まれる」


 俺はそう説明したが、その戦略の複雑さと、それに伴う危険性も同時に伝わっただろう。


「勇者様……それは、私たちが想像する以上に、苛烈な戦いになるということですね……」


 フローラが、静かに尋ねてきた。


「ああ。これまでの戦いとは比べ物にならない。だが、この世界を救うためには、これしかない」


 俺の言葉に、彼女たちは覚悟を決めたように頷いた。


「王子様、わたしたちも、最後まで一緒にいます! 一緒に頑張りましょう!」


 セレスティーナが、俺の手にそっと触れた。その小さな手から、確かな決意が伝わってくる。


「わたくしも、この王国の未来のために、全力を尽くします。あなた様の、どのような命令にも従いましょう」


 エミリアの瞳には、揺るぎない覚悟が宿っていた。


「貴方の光が、私たちを導くでしょう。勇者様……」


 フローラは、静かに祈るように目を閉じた。


 そんな彼女たちの姿を見て、俺の心は温かくなった。アスモデウスとの戦いで傷ついた心が、再び満たされていくのを感じる。


「ありがとう、みんな。お前たちがいてくれるから、俺は戦える」


 俺はそう言って、彼女たちを強く抱きしめた。


 そして、俺は国王陛下とバルド将軍にも、ヴァルファスの真の力と、俺の戦略を伝えた。彼らは、その情報のあまりの絶望的な内容に顔色を変えたが、俺の戦略を聞くと、わずかな希望を見出したようだった。


「勇者殿……この王国には、古より伝わる秘宝がございます」


 国王陛下が、厳かな口調で言った。


「その秘宝は、代々の国王と聖女にのみ、その存在が伝えられてきたもの。古の勇者たちも、その力に助けられたとされています」


 国王陛下はそう言って、フローラに視線を向けた。


 フローラは、静かに頷き、自身の聖なる力で、会議室の床に紋様を描き出した。その紋様が光を放つと、床の一部がゆっくりと沈み込み、隠された地下通路が現れた。


 そこには、まばゆい光を放つ一つの水晶が安置されていた。


「これは……?」


 俺が尋ねると、国王陛下は厳かに答えた。


「この秘宝は、『創世の輝石』と呼ばれています。この世界が創世された時、神々が残したとされる、純粋な創造の力を宿した輝石です。この輝石の力は、使用者を限界まで強化し、その者の持つ力を増幅させると伝えられています」


 俺は、その輝石から放たれる圧倒的な神聖な力を感じ取った。これまでの俺のチート能力とは、全く異なる種類の、根源的な力だ。


「この輝石を……俺が使うと?」


「はい。古の言い伝えでは、真なる勇者がこの輝石の力を引き出すことができるとされています。そして、貴方の能力と、この輝石の力が合わされば、まさしく神の領域に至れることでしょう!」


 バルド将軍が、興奮したように言った。


 全部盛りの世界なら、人間側にも都合の良い展開がある。まさにその典型だ。


 俺はゆっくりと『創世の輝石』に手を伸ばした。


 輝石に触れた瞬間、全身に電流が走り、俺の体内に、これまで感じたことのないほど膨大な力が流れ込んできた。


 それは、俺の既存のチート能力をさらに増幅させ、覚醒していない潜在能力までも呼び覚ますような感覚だった。


「すごい……力が、力が解放されていくのを感じる!」


 俺はそう呟き、その力を確信する。この圧倒的な力と、愛する彼女たちの存在があれば、必ず奴らに勝てる!


 国王陛下と将軍は、俺の変化を見て、驚きと安堵の表情を浮かべていた。


「王子様……これで、必ずや魔神王を打ち倒せます!」


 セレスティーナが、目を輝かせて俺を見つめた。


 エミリアは、深々と頭を下げた。


「この王国の未来は、あなた様に託されました」


 フローラは、俺の額にそっとキスをした。


「貴方に、神の祝福があらんことを……」


 俺は、彼女たちの顔を順に見渡した。この『創世の輝石』の力があれば、ヴァルファスの持つ七つの大罪の力を、より確実に個別に叩き、そして、本体に致命的な一撃を与えることができるだろう。


 いよいよ、最終決戦の時が来た。魔神王ヴァルファス。


 貴様を倒し、この「全部盛り」の世界を、俺が望む平和な世界へと変えてやる。

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