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sweet time  作者: さや
7/10

「…だって、小崎くんとしゃべってると、ドキドキしちゃって困るんだもん……」


「!!」


素でそんなかわいいことをいう水野さんに、僕までドキドキしてきた。


「…僕だって、今ドキドキしてるよ?」


薄暗くてよくわからないけど、きっと、今二人とも真っ赤な顔をしてるんだろう。


「………じゃあ、帰ろうか?」


僕はそう言うと、うつむいてる彼女の左手をとりそっと手をつないだ。


水野さんが顔を上げて不思議そうに僕を見つめる。

僕は水野さんの手を一度ぎゅっと握って、ちょっと照れながら言う。


「…しゃべらないから、このまま玄関まで行こう」


「えっ……?」


僕は彼女から否定が帰ってくる前に、手を引いて歩き出した。


僕たちは人のいない一階の廊下を静かに歩いた。

辺りは静まりかえり、僕たち二人しかいないみたいだ。


夜の学校で彼女と手をつないで歩いてるなんて、なんだか不思議な感じがする。


人に見られるかもしれないと、ちょっと下を向いて歩いてる水野さんが可愛い…。

僕は彼女を安心させるように言った。


「大丈夫だよ。

もう校内の生徒はみんな帰ってるみたいだし。

玄関までは誰にも会わないよ」


「………うん」


彼女が安心したように僕をみて笑う。


僕も彼女に笑い返す。


でも、水野さんにはああ言ったが、もしかしたら誰かに見られるかもしれないというスリルで、僕の胸は速いリズムを刻み続けていた。




無事に誰とも会わずに玄関までたどりついた僕たちは、靴を履き替えてから暗い夜道を歩き出す。


水野さんは僕の半歩後ろを歩いていたが、ふいに、僕の右手に温かいものが触れた。


ドキン!


初めて、水野さんから手をつないできた…。



温かい彼女の手を握り、僕の胸は再びドキドキと高鳴り始めた。


「誰かに見られるかもしれないよ?」


「………いいの…」


僕が訊くと、水野さんは恥ずかしそうにしながらも答える。


かわいい…。


胸がキュンと疼いて、僕は彼女の手をぎゅっと握る。

すると彼女も、僕の顔を見上げ、僕より少し小さな手できゅっと握り返してきた。


つないだ彼女の手のぬくもりが僕の心まであったかくする。


僕たちは水野さんの家につくまで、ずっと手をつないで帰った。

寒い夜道を歩きながら、僕は幸せな気持ちで隣にいる彼女のぬくもりを確かめていた。

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