表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来の日本 異世界に転移する  作者: 青識
3章 未来日本 新たなる大陸と遥か彼方の動乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/86

3-12 偵察

今回少し雑に作ってしまったかもしれない…

「必ず帰れよ!」


その声が、エンジン音にかき消される。


一機目のRAが、カタパルトに弾かれるようにして闇へ飛び出した。

重低音が腹の底を叩き、発射場全体が一瞬だけ揺れる。


続けざまに二機、三機。

光の尾を引きながら、夜空へと吸い込まれていく。


誰も歓声を上げない。

成功を祝う余裕など、どこにもなかった。


「第二波、準備急げ!」


「追加の弾薬まだか!まだ足りねえぞ!」


「秋山、最終チェック入るぞ!」


管制塔の声と現場の怒号が、混じり合って発射場を満たす。

整備員たちは汗と油にまみれながら、無言で走り続ける。


秋山機のコクピット内。

パイロットは深く息を吸い、強制的に鼓動を落ち着かせていた。


視界に展開されるホログラム。


航路は、すでに赤く塗り潰されている。


「注意。予定侵入空域、戦闘状態確認」


「魔法干渉率、基準値超過」


「了解」


短く答える声は、驚くほど静かだった。


管制塔からの最終指示が飛ぶ。


「あなた方の任務は偵察と救助支援。交戦は一般市民に対する攻撃が認められた場合のみ許可します」


「了解」


「帰還を第一に考え行動してください」


一瞬、通信が途切れそうになる。


「……努力します」


それ以上の言葉は、必要なかった。


「秋山、射出位置へ!」


カタパルトがせり上がり、機体が固定される。

警告灯が赤から黄色、そして緑へ。


「カウントダウン開始」


「五」


整備主任が、無言で拳を握る。


「四」


通信士が目を伏せる。


「三」


誰かが、小さく祈る。


「二」


「一」


《射出》


衝撃が全身を貫いた。

視界が一瞬白く弾け、次の瞬間には夜空だった。


秋山機は急上昇し、先行機の後を追う。


眼下に広がるのは、遠ざかる日本の灯り。

その向こうにあるのは、地獄だ。


編隊が高度を上げるにつれ、通信に雑音が混じり始める。


『こちら第一波予想以上だ!

ものすごい火花が飛び散ってもはや逃げ場がない!

広場などのスペースがあるところに住民が避難し始めているが…

火の粉が多すぎて誰かに引火する可能性が高い場所が多い』


「了解、第一波。こちら管制塔。火災拡大の主因は何だ、魔法由来か?」


『了解したただし民間人に対して攻撃している部隊のみだ。

そいつらはテロリストとして武装組織の人として扱え』


「混在しています!

通常火災に加えて、魔法反応による誘発燃焼が確認されました!

交戦許可ください!」


別回線が割り込む。


『IUD中継班より。現地魔力濃度、想定の一・五倍。結界残滓が乱反射している。民間シェルターの一部が機能不全だ』


「最悪の組み合わせだな……」


管制塔のオペレーターが、必死にスクリーンを操作する。


「第二波、進路を三度修正。市街地中心部は避けろ。救助ポイントは外縁部に限定する!」


『こちら秋山。了解。ただし——』


通信に一瞬ノイズが走る。


『……外縁部にも、取り残された反応が多すぎる。赤が消えない』


「承知している。だが深入りはするな。帰還が最優先だ!」


別のパイロットの声が重なる。


『こちら三番機。道路が溶けてる、着地不可! 人が……人が逃げ場を失ってる!』


『IUDより警告。新たな干渉波来る。三十秒後、局所的な爆燃現象の可能性あり』


「全機注意!空救助は中止、上昇しろ!」


『無理だ、まだロープが——』


爆音。通信が一瞬途切れる。


「三番機! 応答しろ!」


『……こちら三番機。生きてる。だが、間に合わなかった……』


言葉の続きを、誰も促せなかった。


秋山は歯を食いしばる。


『管制、こちら秋山。可能な限り、上から誘導する。せめて次は——』


「感情を抑えろ。判断を誤るな」


『分かってます。でも——』


『IUDより。全編隊に通達。この状況、我々も危惧している。予測モデルが崩れ始めている』


「……聞いたな、全機。想定外だ」


「了解」


短く、しかし強い声が重なる。


夜空の向こうで、赤い光がまた一つ、弾けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ