3-9 優しさは人から人へ
あけおめ!
東京・中央公園。
春の陽射しが優しく街を包み、空中庭園には子供たちの笑い声が響いていた。
小さな男の子が握りしめていた赤い風船が、ふとした弾みで手を離れた。
「わぁぁぁ! 僕の風船が!」
風船はゆっくりと空へ舞い上がり、空中交通の向こうへ消えそうになる。
男の子は泣きそうな顔で手を伸ばすが、どうすることもできない。
その時、公園の自販機でコーヒーを買っていた黒いコートの人物に、男の子の声が届いた。
「……あら、どうしたんだい?」
子供は顔を上げ、驚いた。
そこには若い青年が立っていた。
片手はポケットに入れたまま、もう片方で静かに微笑む。
「風船が空に……」
彼は軽く頷き、周囲を見渡す。
空中交通ドローンや小型浮遊装置が行き交う公園の空。
しかし、彼は迷うことなく、手を前に差し出した。
「任せておきなさい。」
すると、彼の手がほんの少し光り、未来日本の技術が静かに働いた。
小型ドローンが自動で飛び回り、風船を追跡する。
首相は手を広げ、風船が手元まで戻るよう、軽く指示を与えるだけだった。
風船はふわりと彼の手に戻る。
男の子の目が丸くなる。
「わぁ……本当に取れた……!」
日野は優しく風船を差し出す。
「ほら、これでまた遊べるね。」
子供は嬉しそうに風船を握り、跳びはねる。
「ありがとう!お兄さん!」
彼は微笑み、軽く頭を下げた。
「日本では、小さな願いも大事にするんだよ。」
春風に揺れる風船と、未来都市の柔らかな光の中で、子供と青年の小さな心温まるひとときが静かに流れた。
春風が穏やかに吹き、空中庭園の遊歩道には子供たちの笑い声が響く。
先ほど風船を取り戻した男の子、レンは、赤い風船を握りしめながら歩いていた。
すると、道の先で小さな女の子が泣いているのが見えた。
「どうしたの?」
レンが駆け寄ると、女の子は手を膝に押し付け、すすり泣いている。
「えっと……風船が……飛んじゃったの……」
レンは自分の赤い風船をちらりと見て、にっこり笑った。
「僕の風船でよければ、あげるよ。」
女の子の目がぱっと明るくなる。
レンはそっと風船を差し出した。
「わ、ありがとう……!」
女の子は風船を握り、涙を拭って笑顔を返す。
その優しさは、風に乗って街を巡った。
近くの公園のベンチで読書をしていた高齢の女性や、未来都市をパトロールしていた警備ドローンまでが、その光景を微かに感知する。
「ほほう……やさしさの伝染か…」
ドローンに搭載されたカメラは、その瞬間を記録した。
同じ時、公園の高台から子供たちの様子を見守っていた日野大政の目に、その光景が映る。
「……ふむ。」
彼は片手をポケットに入れ、もう片方で軽く顎に手を当てた。
風船を貸すだけの行為。
しかし、目の前のレンの優しさは、単なる物のやり取りではなく、心からの思いやりを示していた。
日野の瞳には、微かに光が宿る。
銀河のように広がる未来都市の中で、人の優しさは小さな波紋となり、やがて世界の光になることを、彼は知っていた。
「……そうか、未来はこうして紡がれるんだな。」
レンの行為が女の子を笑顔に変え、その笑顔は街の空気を柔らかくし、やがて日野の目に届く。
首相は軽く微笑み、静かに風に揺れる公園の樹々を眺めた。
「優しさは巡り巡って、いつか必ず誰かの心を照らす……!」
その日、日本の空には、赤い風船が小さな光の点のように揺れていた。
小さな優しさの連鎖が、未来都市を静かに温めていた。
風船は銀河と日本の街の光に身を染めた。
その赤い風船は空中に停泊していた草薙に回収されたのはまた別の話…
こういうのもありかな…って思ったので書いてみました!
皆さんの感想をコメントで教えてください!




