3-3 会議のムード作り
まだ大晦日だよな?
議長が震える声で言う。
「え、えー……それでは世界会議を……」
「議長!!議長!!」
「わが国から重大な抗議がある!!」
早くも複数の国が手を挙げ、議長の声はかき消される。
「まずはブランズ連合国が話すべきだろう!」
「いや、ドルート帝国の艦隊のほうが量が多い!こちらが先だ!」
「そもそも日本の艦隊が入港した理由を説明してもらおうではないか!」
「ちょ、ちょっと落ち着いてください!!」
議長が机を叩くが誰も聞いていない。
会議開始五分で、
議題ゼロ、抗議30、舌戦無限の状態だった。
まさに、
“会議は踊る、されど進まず”。
日本代表団席。
鷹津外務副大臣は隣の外交官にボソッとつぶやく。
「……なんやこのコント」
「副大臣、まだ議題にすら入ってませんよ……」
「この調子やと、今日中に始まらんやろ」
外交官は苦笑した。
周囲では各国の首脳が立ち上がり、机を指さし、罵声を飛ばし合っている。
「貴国は軍艦を引かせろ!今すぐ!」
「いやそっちが先に来たじゃないか!」
「日本はなぜ宙母を持っている!?」
「聞きたいのはこっちだよ!!俺に言うんじゃねぇ!!」
もはや議論というより、政界カラオケ大会のような混沌。
議会中央では、ブランズ連合国代表とドルート帝国大使が指を突きつけ合って怒鳴っていた。
「そっちが砲門外交したせいだろう!!」
「防衛的な寄港だ!そちらこそ威圧目的だろう!!」
その横で、第三国の使節がひそひそと避難している。
「ねぇ……この会議、いつになったら始まるの?」
「さあ……気づいたら戦争開始のほうが早いかもしれん」
会議室のあちこちで、
「誰がどこを威圧した」
「日本が怖い」
「いや相手国が悪い」
などの不毛な議論が渦巻いていた。
議長がついにキレた。
「だああああ!! 静粛にぃぃ!!」
机を叩くが、誰も止まらない。
まるで子供の喧嘩を止めようとする保育園の先生だ。
そんな中、鷹津副大臣が静かに手を挙げた。
「……発言よろしい?」
議長が飛びつく。
「ど、どうぞ日本!」
場内がざわめく。
日本の言葉には誰もが敏感だ。
理由は一つ、宇宙戦艦と機動艦隊の存在。
鷹津は立ち上がり、冷静に言った。
「まず前提を確認したいだけです。うちらはどことも戦争するつもりはあらへん。
せやけど、砲門向けてきたんはそっちやろ?」
その一言に、場内の空気が凍った。
「ブランズさんも、ドルートさんも、
自分らの行動が“どう見える”か考えて動いたほうがええと思うで」
ブランズ連合国代表が慌てて言う。
「い、いや……あれはその……誤解というか……!」
「誤解なら、今ここで砲門閉じたらええ話や」
ドルート帝国も渋々うつむく。
「……検討しよう」
会議室内に苦い笑いが広がった。
その瞬間――
どれほど騒がしかった場内にもかかわらず、
なぜか日本の発言だけは全員が黙って聞いた。
外交官が横で小声でつぶやいた。
「……副大臣、完全に会議牛耳ってますね」
「別に牛耳りたいわけやあらへん。ただ――」
鷹津は小さく笑う。
「舐められんのは嫌いやねん」
こうして世界会議は、
開始から一時間経っても議題には入れず、
各国が互いに牽制しながら踊り続ける混沌状態が続いた。
しかしその中心には、
ひたすら静かに、そして揺るぎなく存在する日本の姿があった。
そして…国際会議は開かれた。
この三章はぜったい戦争がないから戦闘シーンを外伝でやるしかないっていうね…
ちなみに後3章ぐらいで終わらせようと思ってたんですけど流石にきついので後6章ぐらいは書いていきたい。




