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未来の日本 異世界に転移する  作者: 惣菊
2章 未来日本 過去の友人そして新たな動乱

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2-12 しかるべき処遇 後編 01

書いててつらいっす…凛さんが可哀そうです…

アトランスタ評議国 国際連盟本会議場


「報告!王都北部全体から一瞬にして報告途絶!壊滅したと推測します!推定死者数、十万超!」


報告官の声が議場を揺らした。


各国代表が一斉に立ち上がり、叫ぶ。



「日本国は何をしている! 正気の沙汰ではない!」



「即刻、停戦要求を出せ!急がないとリ・カーンそのものが崩壊する!」



「ふざけるな!民間人を無差別に十万殺しておいて何を語る気か!」



「民間人を巻き添えにしただと!? これはもはや報復ではない、虐殺だ!」



「日本国は理性を失ったのか! 今すぐ作戦を中止させろ!」



「連盟がこの暴挙を黙認すれば、秩序は崩壊する!」


各国の代表が怒声を上げている時、リ・カーン王国の王は…


「なぜだ……たかが十数人を殺しただけで、なぜ戦争が起きたんだ……」


と自分の招いた結果を受け入れられずにいた。





同時刻 冥専用特務艦 「府」


「冥の挙動がおかしい! 機体応答が途絶、禍核の使用を確認!」



管制員が艦橋にいる全員に聞こえる声で叫ぶ。



その声を聞いた皆は自分たちが出来る行動をし始めた。



「冥!どうした!なぜその様な行動を!!」



「だめです!通信拒否されてます!」


「モニター起動!どうにかしてコンタクトを取れ!」


「もうやってます!!」


そういうと中央モニターにコックピットが映し出される。


「こちらから強制シャットダウンできるか!!」


「無理です内部から拒絶されています!」


「朧を向かわせろ!凛を早く説得させるんだ!!」


モニターに映る凛の瞳は、燃え尽きたような赤い光を湛えている。


指は震えず、操縦桿を深く握るだけだった。




冥はそのまま王都中枢の方向へ姿勢を定める。


兵器管制の解除手順を飛ばし、制御を解除し冥が出せる最大限の出力を引き出す。


その時、空がもうひとつの影に割られた。


いや正確には空間自体が切られたという説明をすべきだろうか…





御三家の内一機が、蒼白の光を帯びて冥の進路に滑り込む。


「冥、止まれ!」


朧の声が通信回線を引き裂く。


だがそれは、単なる命令ではなかった。


低く、個人に向けられた呼びかけだった。


「凛。俺だ。聞け、貴様はなぜそれを為す?」


冥は応答しない。


機体は既に半ば暴走し外部からの割り込みを拒んだ。


朧は判断した。言葉だけでは足りぬと。


朧は機体を限界まで加速させ、冥の側面に並走する。


彼のRAは、光学迷彩を負わせた薄翼を広げ、冥のセンサーを撹乱しながら、機体間に寸止めの距離を確保した。


朧は相手の目をだまし奇襲攻撃するのが専門だ。


それに対して冥は正面攻撃を得意としている。


だがそれでも御三家だ…


並みのパイロット以上の技量で機体を操作する。


空中での競り合いは、静かな恐怖だった。


火薬の匂いも爆音もなく、ただ鋼と意志のぶつかり合いがあるだけだった。


「凛、お前がどんな武器を使っても、兄は戻らない!

君が殺すのは、何だ? 何を守るために燃やすと言うのだ?」


朧の声には、怒りでも甘言でもなく、長年の仲間としての痺れるような哀願が混じっていた。


冥の操縦桿が微かに震えた。


凛の呼吸が乱れる。


だが機体はまだ動き続ける。


彼女の視界に、王都の残骸と、瓦礫の中で手を伸ばす生きた人影が映る。


それを必死に助けようとする若い男性の後ろ姿…


凛が兄との記憶を思い出す。


兄の記憶。


あの最後に交わしたのまた明日という言葉。


もう二度と戻らない自分の日常。


尋常ではない怒りが、冷静さを凌駕していく。



朧のパイロットである黒上は自身の機体の外殻を冥に接触させ、超近接妨害武装「凍雷」を起動、冥の腕を一部を物理的に制御した。



内部連結。



朧はわずかに息を詰め、全出力で冷気を流し込む。


朧の腕が冥の外装を掴むと、空中で二つの巨体が短くきしむような音を立てた。


「動くな、凛!」


朧の声は切迫していた。


「これ以上やれば、貴様は君の兄さんが最後まで願っていたものを永遠に失う!

復讐は届かない!終わらぬ憎悪だけが残る!」


だが冥は、制限解除の影響で凍結が進まない。


朧の装甲の一部は冥が展開している雷鳴によりは焼け、煙が立ち上る。


冥の片翼が反転し、朧を突き放そうとする。


凛の中で、兄が笑いながら一緒に空を見た記憶の断片が揺れる。


彼が守りたかったもの。


星を見たあの日の約束。


涙が、ヘルムの内側で零れ落ちそうになる。


「凛、お前は一人じゃない。

御三家だ。

私たちは同じ血を引く。

君の痛みは、俺の痛みだ。だが、痛みに屈するな。

兄の望みは、消滅ではないはずだ。」


凛は、ゆっくりと視線を下ろした。


ヘルムの内、目が赤く光る。彼女は呼吸を整え、震える声で応えた。


(まなぶ)、私は……もう、分からない…だけど…兄は…兄さんはそんな終わりを望まなかった…邪魔をするならあなたも殺す」


彼女はそういうと朧に鎌を向ける。


彼女の目には殺すという決意が宿っていた。


一瞬の静寂だがその瞬間、空が震えた。


遠方でなにかがが走る。


遥か彼方宇宙からきたなにか…


白色のなにかが走り抜ける。


それはもはや光を凌駕した速さで彼らに迫った。


その衝撃で朧と冥の機体が吹き飛ばされる。


誰かが介入した。


通信が割り込む。



「落ち着け…凛…兄さんを亡くした気持ちもわかるが…落ち着け…」


100m級RA軌跡


100m級RAにおいて最も速度が速いRAが到着したのだ。


そしてパイロットは彼女のもう1人の兄である(つとむ)あった。


冥に軌跡が手を貸す…


だがそれすら振り払い再度王都に向けて鎌を向ける…


彼女の眼には涙、決意、絶望が刻まれていた。


制限を全て解除しようと彼女はパネルに手を伸ばす。


機体が一瞬硬直した。


軌跡はその一瞬の隙を逃さなかった。


軌跡が冥の懐に潜り込んで俊速の一撃を決めた…



その一撃は彼女と彼女の機体に強く押しかかり回避出来ずにモロにくらった…



その衝撃はすさまじく冥の装甲の一部を吹き飛ばしたのだ。



そして語りかける様に軌跡のパイロットである努が語りかける様に話始める。




「落ち着け…凛…兄さんは自分の為に妹を裁判ものにしたくない…」


なんとなくだけどネタバレを作者自身がしてると思うとつらい…

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― 新着の感想 ―
カーン9世、今更何を言ってるんでしょうね。 彼の祖国の滅亡も、彼自身の破滅も、すでに決まっているというのに。 いや、それ以前に彼は、自分が罪を犯したとは思っていない。その傲慢が、彼の最大の罪です。
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