8話
「ふーん、で、どうやって3人をやり過ごしたの?」
「よそ見している間に逃げました」
「そう、それでご飯を食べたいの?」
「そう」
「それならついて来なさい」
そこからついて行った。人と一緒にいる分、変な目では見られないと思っていた。
実はそうでもなく、その受付嬢は相当美人の部類に入るらしく、目はとても冷たかった。
やばい。余計反感を買ったかもしれん。
そのまま、食事処へ連れてこられた。
「好きなもの食べな」
「姉さんは何食べるの?」
「私はいつもの」
「僕もそれがいい」
受付嬢は店員を呼び、頼んでくれる。
沈黙の間。あまり嫌いじゃない。別に話さなくていいなら話さなくてもいい。
受付嬢の目はこっちを見ない。どこを見ているのだろうか。窓。その奥の星でも見ているのだろうか。
来たのは鶏肉と豚肉と牛肉のミックスグリルみたいな。いや普段からこんなもん食ってるのか…他の男が見たら軽蔑し
たりするのかな。
久しぶりにこんなにガッツリ食べた気がする。いつもは適当に買ったものしか食べてないからこういうものを食べるのもいいかもしれない。
そういえば値段を見ていなかったが、いくらぐらいするものなんだろうか?
一応財布と出すふりをする。
「そういうのいいから」
と言って、店を出る。
どういうことだろうか?まさかこの家の娘だったりするのだろうか?
「お金は?」
「注文の時に払っておいた」
「ありがとう」
そっぽを向きながら歩く。どうやら俺に家に向かっているみたいだ。
家の前には誰もいない。
「それじゃ」
振り返らず手を上げて帰っていく。
かっけえなぁ。
それから夜襲も何も起こることはなかった。
何故だか、男性冒険者の俺を見る目がより一層冷たく感じた。